『年下のひと』© 1999 STUDIOCANAL / ALEXANDRE FILMS / France 2 CINEMA.
芸術の秋に観たい映画を数回にわたって紹介します。今週は、読書の秋にちなんで、“作家”が主人公のラブストーリーを3作品選んでみました。『年下のひと』と『ことの終わり』は、ともに2000年に日本公開された映画なので、読者の中には「当時、映画館で観た」と懐かしく思い出す方もいるかもしれません。比較的最近の映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、主人公の生き方がメインテーマの作品ですが、ラブストーリーとしても秀逸です。
実在した女性作家と詩人のスキャンダラスな愛
『年下のひと』
© 1999 STUDIOCANAL / ALEXANDRE FILMS / France 2 CINEMA.
19世紀のフランス、“男装の麗人”としても知られる女性作家のジョルジュ・サンドは、夫と別居し、子どもを連れてパリへやってきました。その矢先、ある朗読会で6歳年下の美貌の詩人アルフレッド・ミュッセと出会い、激しい恋に落ちます。若いミュッセは「官能をむさぼりたい」と言い、サンドもまた情熱的に愛しますが、やがてミュッセが嫉妬に狂うようになり……。
自由奔放で執筆活動を続けるバイタリティもあるサンドと、文壇の寵児である天才詩人のミュッセ。そんな二人の恋愛は穏やかさとは無縁で、愛すれば愛するほどぶつかりあい、破滅へと向かっていきます。
© 1999 STUDIOCANAL / ALEXANDRE FILMS / France 2 CINEMA.
サンドを演じたのはジュリエット・ビノシュで、男性優位の社会において自分の考えを貫こうとする強さと、多くの男性を魅了する色気と母性を漂わせ、媚びない女性像を表現。ミュッセを演じたのはビノシュより10歳年下のブノワ・マジメルで、酒やアヘンに溺れて狂乱に陥る姿を熱演しています。
余談ですが、ビノシュとマジメルは共演を機に恋愛関係になり、女児をもうけた後、数年で別離しています。最近、『ポトフ 美食家と料理人』という映画で20年ぶりに再共演したことも話題になりました。
『年下のひと』
1999年製作
U-NEXTにて配信中
© 1999 STUDIOCANAL / ALEXANDRE FILMS / France 2 CINEMA.
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作家と人妻の禁断の愛を終わらせた“第三の男”とは?
『ことの終わり』
© 1999 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
1930年代頃から活躍したイギリスの作家、グレアム・グリーンが自身の体験をもとに書いた小説『情事の終わり』を映画化。
舞台は1940年代のロンドン。ある雨の日、作家のモーリス・ベンドリックスは2年ぶりに友人のヘンリー・マイルズと再会し、ヘンリーの妻サラとも顔を合わせます。ヘンリーが浮かない顔をしているのは、サラが浮気をしているのではないか、苦悩しているからでした。
© 1999 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
実は、モーリスとサラはかつて密かに逢瀬を重ねていましたが、突然に終焉を迎えました。ある日、愛し合っている最中に激しい空襲に見舞われ、混乱の中、サラは謎めいた言葉を残して彼の前から姿を消したのでした。そんな過去を隠しつつ、ヘンリーの悩みを聞いたモーリスは、サラの新たな浮気相手が気になって探偵事務所に調査を依頼しますが……。
© 1999 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
モーリス役には青い目が神秘的なレイフ・ファインズ、サラ役には気品あふれるジュリアン・ムーア。裸で絡み合う官能的なシーンも多い作品ですが、ただの不倫ものではないので、やはりこの二人の知的な雰囲気が映画化には欠かせなかったといえるでしょう。
それにしても、モーリスは上品そうな紳士だけれど、探偵まで雇うとはなかなか下衆な男です。でも、その結果、意外なことがわかってきます。何がわかるのか、彼らはどのようにふるまうのか、ぜひ実際に観て確かめてみてください。
『ことの終わり』
1999年製作
デジタル配信中
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント