「これ、ちゃんとできてる?」今すぐチェック!日常生活で認知症予防になる動きを解説

運動2:片足立ち

■教えてくれたのは伊賀瀬道也(いがせ・みちや)さん

愛媛大学大学院博士課程修了後、愛媛大学医学部附属病院、抗加齢・予防医療センターを運営。抗加齢医学講座教授として老年病一般外来や「抗加齢ドック」を運営。著書に『国立大教授が教える最高の若返りメソッド 長生き1分片足立ち』(文響社刊)がある。

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片足立ちの「バランス力」は脳の委縮にも関係!

もう一つ、認知症予防におすすめの運動は「片足立ち」。

「まず、上の写真のように片足立ちを1分、してみてください。いかがですか?もしすぐにふらつき、続けられなかった場合、単なる筋力不足だけではなく、不安定な体を支えて姿勢を維持する“バランス力”が低下しているサインです」

そう話すのは、4000人以上の患者さんに指導を続けてきた、愛媛大学大学院抗加齢医学講座教授の伊賀瀬道也さん。

「もしかしたら脳が萎縮し、認知症の前段階(MCI)になっている可能性もあります。片足立ちは、認知症や脳卒中といった深刻な病気の芽の発見にも役立つのです」と話します。

■片足立ちの時間が短いと脳が委縮している可能性も

アルツハイマー型認知症は側頭葉内の海馬が萎縮して側脳室下角が拡大するという特徴があります。片足立ち時間が短いと側脳室下角面積が大きい(脳萎縮)。

出典:Kido T,et al. Dement Geriatr Cogn Disord.2010;29:379-387.

片足立ちは、脳の病気のバロメーターになるだけではなく、「体を支えるバランス力も強化できる一石二鳥の運動」と伊賀瀬さんは言います。

体を支える「バランス力」には、筋力や骨量、足裏で地面をとらえる「感覚能力」の他、脳が命令を全身に伝える「神経ネットワーク」が正常に働いているかも重要です。

このバランス力は、通常の筋トレだけでは十分に鍛えることができません。

伊賀瀬さんは、「片足立ちはふらつかないようにと踏ん張るため、脳の神経ネットワークが刺激されます。片足立ちの時間が長い人ほど認知機能検査の点数がよい傾向があります。太ももの大腿筋が鍛えられ、骨に適度な負荷がかかって骨密度が上がり、血液循環もよくなります」と言います。

■開眼片足立ち時間と認知機能検査の点数

出典:Kido T,et al. Dement Geriatr Cogn Disord.2010;29:379-387.

「最初は1分できなくても、毎日することで1分続けられるようになった方もたくさんいます。歯磨きしながらなど、気軽に続けてみてください」と伊賀瀬さんはアドバイスします。