電子書籍配信サービス「マンガ図書館Z」が2024年11月26日12時をもってサービスを停止すると、公式サイトで5日に発表した。
「結果的に作家様、ユーザ様からの信頼も裏切ることになると判断」
「マンガ図書館Z」は、絶版となったマンガを中心に、広告収益を元に無料で配信を行う電子書籍インターネット配信サービスだ。少年漫画・少女漫画からアダルト系までジャンルを問わず作品を配信し、漫画配信サービスの先駆けとして人気を博した。
漫画家で参議院議員の赤松健氏が11年に立ち上げたサイト「Jコミ」を前身とし、現在は赤松氏らが立ち上げた「Jコミックテラス」が運営を行っている。
Jコミックテラスは、停止理由について「近年は(カード会社など)決済サービスの面で対応に苦しむことが増えてきました」と説明し、「サイトを停止しなければならない状況に至ってしまったことには、無念の思いしかありません」と悔しさをにじませた。
「先月決済代行会社から通達があり、決済サービスの契約を10月末ですべて解約せざるを得なくなりました」。通達を受け協議を行うも、「カード会社の判断によるものであり、すでに弊社では覆すことのできない状況」だったという。
「急遽資金繰りの試算と検討を重ね、連日にわたりギリギリまで今後の運営の立て直しを協議いたしましたが、作家様への還元ができなくなるようなサイト運用を続けることは、結果的に作家様、ユーザ様からの信頼も裏切ることになると判断し、サイトの停止を決断いたしました」
今後については「関係各所と検討を重ね、サイト再始動の道も探ってまいります」とし、非営利団体への移行やクラウドファンディングなども検討しているとした。
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「電子書籍のみならず、日本のコンテンツ業界全体の問題となってくるのは確実」
赤松氏は自身のXでも本件に言及した。漫画の配信は無料だが、「サーバ代などは有料のプレミアム会員費が主な出所」だったといい、「今回、サイト停止の直接的な要因は、決済代行会社が『クレジットカード決済以外の決済手段も含む、決済サービス全体での解約』を通告してきたため」だと明かした。
「クレジットカードはJCBを含む全てのカード会社が突如使用不能となり、他の決済方法も(ビットキャッシュ以外)全て使えなくなりました。おまけに、既に過ぎている月の支払いまでも留保となり、その期間(今後も)のプレミアム会員費が全く入らなくなったため、サーバ代さえ出ない状況に陥りました」
今回の対応について、「通告から支払留保までの期間があまりに短く、『決済サービスをおさえる企業に屈する』形になったことを深くお詫びいたします」と謝罪した。
その上で、「表現の自由を守る」ための具体的な情報が手に入ったともしている。
「近年、これまでにない『強い条件』や『強いペナルティ』が決済サービス側から発せられており、これらを放置すると電子書籍のみならず、日本のコンテンツ業界全体の問題となってくるのは確実な状況」とし、「『実際に閉鎖に追い込まれた側』として、より正確な対抗策を打ち出してまいります」と決意をつづった。
赤松氏の発表には、「日本の法律になんら問題ないはずの経済活動を一方的に、それも焚書に等しいことをカード会社ができてしまうことは許しがたいです。こんな表現の自由の奪い方はあってはならないと思います」「事情の説明ありがとうございます。今後の対応策に活かせる点もご記載いただいて少し救われた気分です。大変だと思いますが頑張ってください!」など、今後に役立ててほしいと願う漫画ファンの声が相次いでいる。