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イタリアの観光名所のトレビの泉では現在、大改修工事が行われている。泉の水は抜かれてしまったが、観光客に人気がある「コイン投げ」用にと、特設のプールが設置された。味気ないプールの外観に世間の反応はさまざまだ。
◆観光客に大人気! コイン投げで有名
トレビの泉はローマ市街のトレビ広場にある噴水で、代表的な観光地の一つだ。もともとはローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスが建設したものだが、イタリアの建築家ニコラ・サルディの設計で1732年から1762年にかけて改造され、現在の姿となった。
泉の後ろの宮殿がデザインの一部となっており、巨大なコリント式の柱が並ぶ壁をバックに、ローマ神話の神々が配置されている。泉を背にして、肩越しにコインを投げ入れると願いが叶うという言い伝えがあるが、1954年に公開された映画『愛の泉』をきっかけに、観光客の儀式として広まったという。
◆大規模改修開始 臨時プールにガッカリ?
泉の改修工事は、10月初旬から始まっており、30万ユーロ(約5000万円)をかけた大規模なものだ。ローマ・カトリック教会の聖年である2025年の祝典に間に合うように終了する見込みだという。祝典の頃には、数百万人の観光客が訪れると予想されている。(CNN)
すでに噴水の水は抜かれ、周りは封鎖されているが、コイン投げは可能だ。泉の前に特設プールが登場したからだ。装飾なしの合板で覆われた長方形の箱型で、透明なプラスチック板で覆われた高いフェンスの後ろに設置されている。CNNによれば、周囲には小銭が散らばって落ちており、うまくプール内にコインを投げ込むのが難しくなっているようだ。
La Fontana di Trevi di Roma è stata svuotata per dei lavori di restyling e il lancio delle monetine ora viene fatto in una piccola piscina installata a ridosso del cantiere.
ガーディアン紙によると、プールについてソーシャルメディア上で皮肉なコメントが寄せられており、「トレビのプール」と名称を変更する人や、「14時間飛行機に乗ってきたのに、市営プールが待っていた」とコメントする人がいたという。もっとも、泉を訪れた観光客からは、「思わず笑った」「工事が必要なのは分かるから、ちょっと変だけどいいアイデア」「逆にユニークな体験」などの明るいコメントもあったそうだ。
◆1日50万円! 投げられたコインはどこへ?
ユーロニュースによれば、トレビの泉には毎日約3000ユーロ(約50万円)分のコインが投げ入れられており、年間では150万ユーロ(約2.5億円)になるという。市では回収チームを年数回派遣して硬貨を集め、地元のカトリック慈善団体に寄付している。寄付は貧しい人々の救済活動の大切な資金源になっている。
もっともCNNによれば、市は噴水内で修理をする作業員にコインが当たらないよう保護するために臨時のプールを作ったと説明しており、集金目的というわけではなかったようだ。
実は2025年4月より、泉の観光には入場料2ユーロ(約330円)の徴収が予定されている。こちらはオーバーツーリズム対策ということで、混雑緩和を期待している。