声優、アイドル、アーティストなどさまざまな顔を持つ芹澤 優が、10月30日に5thシングル「ROCK ME KISS ME feat. MOTSU」をリリース。
今作の見どころから、30歳という節目を迎えるにあたってどんな気持ちなのかなど、幅広く語ってもらった。
◆「令和のm.o.v.e」最大限のリスペクトを
――前作「JUNGLE FIRE feat. MOTSU」MVは700万再生を超え、各ストリーミングサービスでは海外を含め再生数は1000万回超え。『声優と夜あそび』(ABEMA)出演など、これまで以上に知名度が上がった実感はありますか?
あります! フェスで盛り上がるんですよ、私!(笑) フェスの頭やトリなど、盛り上がらなきゃいけない部分を任せてもらえるようになったし、曲のイントロが流れた瞬間に客席がブチ上がるのを肌で感じます。これって、いままで以上に曲を知ってもらってるからこそだと思うので、すごくありがたいですね。
――今作「ROCK ME KISS ME feat. MOTSU」のMVが公開され、「令和のm.o.v.e」「MFゴーストのOPといえばこのふたり」といったコメントも散見されます。前作では過去シリーズのファンに受け入れられるか不安と語っていましたが、今作ではどんな気持ちで撮影に臨んだのでしょうか。
MOTSUさんはいつでも気さくで、お父さんみたいに大きく受け止めてくれますし、ニコイチでやっている感もあるんですが、コミュニケーションではギリギリのラインを攻めたいと思っています。
業界の大先輩だし、『MFゴースト』関連のお仕事では、m.o.v.e のMOTSUさんを支持している方が多いからこそ、隣にいる私が受け入れてもらえているので。MCでツッコミをいれちゃったりとか、私が率先して喋ったりするけれど、MOTSUさんはすごい人なんだって、最大限のリスペクトをいつも心のなかに持つようにはしてますね。
◆MOTSUさんはいつでも「本気」と書いて「マジ」
――近くにいて感じるMOTSUさんのすごさとは?
なんというか、いつでも「本気」と書いて「マジ」なんですよ。MV撮影の少し前に筋トレのしすぎで肉離れをしちゃったらしいんですけど、その数日後にはフェス「アニレヴ(Anime Rave Festival)」のステージに車椅子で登場して、ラップしてました。アグレッシブがすぎるんです(笑)。
その現場で「MVまでには治すから」と言って、本当に一緒に踊ってくれちゃうから「存在の説得力」がすさまじい。「何でもやれちゃうよ」っていうMOTSUさんの言葉は嘘じゃないんだ、「MOTSUさんがやれるって言うならやれちゃうか~」って思えます。
――大先輩のMOTSUさんの歳になったとき、自分も同じようにアグレッシブな存在になっていると思いますか?
そうですね。別の取材でMOTSUさんが「セリコ(芹澤 優)のギラつきが好きだ」って言ってくださったのが嬉しかったです。
それって、12年目のアイドルが「私はまだここからもっと売れるんだ」というメンタルでユーロビートという新しいジャンルに踏み出した、この粘り強さを持ち続ければ、一生新しい何かを掴んでいけるかもってことじゃないですか。これからもずっとみなさんに楽しんで貰えるはず!
――声優業界ではMOTSUさんよりさらに年上の先輩たちが活躍されていますよね。
最近、マグロをさばいて日高のり子さんに食べてもらう機会(ABEMA「声優28時間テレビ」)があったんですが、めちゃめちゃかわいかったです。みんながきゅんきゅんする気持ちもわかるし、「ずっとかわいい」って可能なんだって改めて思いました。
――日高さんも、芹澤さんがよく言う「今がいちばんかわいい」状態だったんですね。
間違いないです。そういう意味では、私も伸びしろしかないです(笑)。
◆ラップの掛け合いは、アフレコに似ている
――今回のラップパートでは、普段の歌声とは全く違う声の出し方だと感じました。事前にラップを聴き込んだり、練習したりしたのでしょうか。
いろいろな人から同じことを言われたんですけど、じつは特に練習とかしてないんですよね……(笑)。強いていうなら、田村ゆかりさんの「You & Me」が大好きで、中学時代には本当に擦り切れるくらい聞いていたので。 “王国民”としてDNAに刻まれるレベルでMOTSUさんのラップを聴き込んでいたのが、ここへきて仕事をしてくれたって感じですかね。
あとはK-POPのアイドル曲にラップパートがあるから、その影響も少しあるかもしれません。IVE(アイヴ)のレイちゃんのラップとか、かっこいいんですよ。
――今後ソロやi☆Risでラップパートを担当する可能性も?
やってみたいけど、ひとりだとあのテンションはつくれないかも。MOTSUさんとの掛け合いがあるからこそ、“声優魂”じゃないですけど、そっちがそう来るなら、こっちはこうだ!みたいなリアルタイムの掛け合いがあってこそなので。
――なるほど、あのラップパートは声優現場のアドリブに似ているんですね、すごくおもしろいです。ラップと声優の両方をやっている人はなかなかいないので、その例えは初めて聞きました。
ボールをぶつけあうドッジボールみたいというか、掛け合いのノリは、アフレコに似てると思います。
◆ソロ活動初のお腹が出た衣装に注目
――あらためて今回のMVの注目ポイントは?
今回の衣装はお腹がガッツリ出ているんです。ソロでは初めてだから、撮影に向けて減量していたので、きれいな腹筋を見てほしいですね。
我慢していたご褒美として、撮影終わりに現場でマックナゲットを大量にウーバーイーツで注文しました! 匂いが充満して、スタッフさんも含めみんながわらわら集まってきて、この香りもDNAに刻まれてるんだなって(笑)。
――その体型で減量すると少し心配になるのですが、体調は問題ないですか?
はい、超元気です! 減量もすごい無理して頑張ってるわけじゃなくて、自分のメンタルのために、できることはやったんだという意識が大事なんですよ。何キロ痩せたからどうこうではなくて、この撮影のために私は仕上げにいくっていう気持ちというか。
撮影当日にも、これだけ頑張ってきたんだから、今日の私はかわいいに決まってる! って自信が、撮影での表情や動きに出るはず。逆に、いつもより顔が腫れてる気がするだけで気持ちがしゅんとしちゃうタイプなので。
この日のためにできることはやったぞってドヤ顔するために、いつもできることをやるって感じです。
――クルマのドライバーを演じる『MFゴースト』の役作りのためマニュアルで免許を取ったわけですが、その後、マニュアル車に乗る機会はありましたか?
じつはこの取材の前に、TOKYO MXさんのとある番組の撮影で乗ってきました! 教習所ぶりに乗るというおそろしい企画ですが(笑)、頑張ってきたので、ぜひ見てほしいです。
◆ここを頑張れたら、未来が変わるはず!
――ソロ活動に加えて、声優として出演作も増え、i☆Risのツアーなど、特に忙しい1年だったと思いますが、しんどいときに自分を奮い立たせるスイッチはあるのでしょうか。
ありがたいことに、今年は忙しすぎてあんまりいろいろ覚えてない……。ただ、ぜんぜん奮い立ってない日もあるんですよ。みなさんの目に触れる場面では、くじけてる姿を見せることはないけど、ひとりでくじけてることはあります。
スタッフさんやファンのみなさん、家族が支えてくれて、なんとか頑張れてるだけ。本当に恵まれてると思います。少し前にも私が家にいないタイミングに、母が掃除をしてご飯をつくって帰ってくれて、私がもう無理……ってなってるときはマネージャーさんが飲み物を差し入れてくれて。i☆Risのリハーサルとかでも、ごめん今日は本当に元気出せないって日はほかのメンバーが頑張ってくれる。
ダンスリハとか半分寝たままやって、本当に誰とも目が合わない日もあります。鏡とダンスの先生と自分しか目に入らない、みたいな。でもそこでみんなが逆にほっといてくれる優しさがしみますね。
――特に忙しかった時期はいつごろですか?
う〜ん。夏にフェスとツアーとリリース周りの活動、SoLaMi♡SMILE(by TVアニメ『プリパラ』)のライブ、あとまだ世には出せないアフレコの準備……。そのあたりがかぶったときは大変だったかもしれないですね。
特にこの業界は発表できるのがすごく先の仕事が多くて、来年放送の『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』で演じるキャラクターが関西弁なので、その練習もなかなか大変で。特に私はセリフ覚えを安心できるまでやりたい派で時間がかかるけど、今は効率より確実性を大事にしていこうと思っています。
夜の仕事が終わって家に帰ったあとも、眠い目をこすってセリフの練習をして、お風呂に入って寝ようとしたらもう朝……みたいな日もけっこうありました。
――ここ最近のお仕事の質が、今後のキャリアにも大きく影響する予感があるんですね。
そうですね。ここを頑張れたら、未来が変わるはず!って気持ちでなんとか頑張ってます。もちろん今までのお仕事に手を抜いたことはないけど、さらに質を上げていきたいです。
◆持てるだけの武器を持って迎える30歳代
――30歳という節目を迎えるタイミングで、意識することはありますか?
振り返ってみると、今年は本当にいろいろなことをやらせてもらえてありがたいって実感する1年でした。過去にはお客さんが数十人しかいないライブも経験したけど、今ではAbemaで大きな番組のMCを担当できて、アニメの作品にも昔より多く出られるようになって……。
いろいろな経験を経て30代を迎えられるのは、自分が持てるだけの武器や道具を持って、背中のリュックはぱんぱんだなって感じです。この武器を持って、30代が始まるのかってわくわく、うきうきしてます。
――これから、少しレベルの高い敵とも戦えそう、という感じでしょうか。
そうそう、今ならあのときには勝てなかったボスを倒しにいけちゃうかも、みたいな強い気持ちで臨めそうです。
――ちなみに勝てなかったボスとは、具体的にはどんな相手でしょうか。
何回受けても落ち続けてるオーディションとか、仕事現場で私のことを鼻で笑ったスタッフさんを見返したいとか(笑)。うまく話せなくてすべっちゃった番組では、今ならもっとうまく話せるかも、とか。
――逆に30歳までにやり残したことはありますか?
じつはスマホで30歳までにやりたいことのリストをメモしてあって……。「富士山に登りたい」「ホームパーティーをやりたい」とか書いてますね。『ゴシップガール』にハマってたんだろうな、きっと。このあたりはもうやらなくてもいいかな(笑)。アイドルは直筆の文字を書く機会があるのでペン習字と、スカイダイビングはまだやりたいと思ってます。
あと「もう一度武道館に立ちたい」って項目もあるんですけど、もっと大きなぴあアリーナMMでのライブがあったので、叶ったってことにします!
――周年ライブお疲れ様でした! ソロツアーも頑張ってください!
【芹澤 優プロフィール】
せりざわゆう●1994年、東京都生まれ。声優アイドルユニットi☆Risのメンバー。「MFゴースト 2nd Season」のOPテーマ「ROCK ME KISS ME feat. MOTSU」をリリース。全国6都市を回る芹澤 優 5thソロツアー 「Yu Serizawa 5th Live Tour 2024 ~My Room Fantasy~」が開催中
<取材・文/森ユースケ 撮影/尾藤能暢>