関係は持つのに「付き合おう」とは言わない30歳男の本音。32歳女は、進展を待っているが…

今週のテーマは「都合が良い関係にしては時間を割いてくる男の心理とは?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「この関係は何…?」合コンで出会った彼と、曖昧な関係を半年以上続ける32歳女の末路

「じゃあまたね」「うん、またね」

日曜の朝9時過ぎ、真由が僕の家の扉を閉めるのを見届けて、僕はもう一度ベッドへ戻り布団にくるまった。

真由とは、ここ半年デートしている。

正確に言うと、デートというよりも、こうしてお互いの家を行き来したり食事をしたり、電話をしたり…している。

もはやこの関係を何と呼ぶのかもわからなくなっているけれど、居心地が良いのは確かだ。

でも、僕たちは正式に付き合っているわけではない。どうして正式に付き合わないのか?それには僕なりの考えがあった。



A1:普通に会いたいし、好きだから頑張った。



真由と出会ったのは、知り合いの紹介だった。その日、人数が足りなかったのか盛り上がっていなかったのか…。友人から当日急に誘われ、僕は2軒目から合流することになった。

途中から参加した僕を、ふわっとした可愛い笑顔で迎え入れてくれた、僕より2つ年上で32歳の真由。

― この子、可愛い…!!

初めて彼女を見たときの素直な印象が、これだった。しかも会話も楽しくて、僕は「いいな、この子」と思った。

女性もかもしれないが、男性は第一印象で、“アリかナシか”がほぼ決まる。よっぽどのことがないと、これが覆ることはない。

僕的には真由はタイプで、強く惹かれるものがあった。

だから1週間後。僕から真由へ連絡して、食事へ誘ってみる。

初デートは、僕が最近訪れて気に入った、神楽坂にある『400℃ PIZZA TOKYO』へ連れて行くことにした。

決して華美ではないのに、素材の味と生地が最大限に生かされている美味しいピザは、誰もが好きだと思ったから。

「美味しい…!」

エアリーなのにもっちりとしたピザを食べて、喜ぶ真由。店選びは正解だったようで安心する。

「でしょ?ここさ、お気に入りで。真由ちゃん気に入ってくれるかなと思って」

美味しそうに食べる真由が可愛くて、僕はさらに興味を持つ。ただこれは僕の性格の問題なのだが、すぐに誰かと交際に発展することは、基本的にない。じっくりと時間をかけて進みたい派だった。

だから真由にも、ありのままの気持ちを伝えてみる。

「俺さ、実はすごい人見知りで。あと人を好きになるのに時間がかかるんだよね…」

「そうなんだ」

「真由ちゃんのこと、いいなと思ってる。だけど付き合うまで、もう少しこうやって会えると嬉しい」

すると真由は納得してくれたのか、曖昧な笑顔で頷いてくれた。

「…わかった」

もちろん、僕としてはこの先に進めたい気持ちが強い。だから積極的に誘ったし、僕なりのペースで頑張ってプッシュしていたと思う。

わかりにくいかもしれないけれど、僕からのかなりの愛情表現だった。

それに二度目のデートでも、ちゃんと僕は真由の恋愛観を聞いたりしていた。

「真由ちゃんは、どういう人が好きなの?」

「私の好きなタイプは…」

お互いの恋愛観の擦り合わせもできて、一緒にいて楽しい。居心地も良いし、僕は「真由に会いたい」と日々思っている。

だから会いにも行くし、連絡も取った。「真由のことが好きかどうか」と聞かれたら、答えはもちろんYESだ。

それにこの時は真由を手に入れたくて、自分でも焦っていたのかもしれない。

そして何度か会っているうちに、僕たちの関係は自然とさらに一歩進むことになった。



A2:壊れない、今の関係がベスト。



あれは多分四度目のデートの帰り道だったと思う。お互い酔いが回ったせいかこの日は距離が近く、何となくの流れで僕の家へ来ることになった。

しかし…。

その日は事が終わると、真由はそそくさと着替えて嵐のように去ってしまった。

― あれ?僕、何かしたかな。

そう思ったけれど、そんなことを直接聞くのもヤボである。ただ、僕の追いかけたい気持ちに火がついたのも事実。

そもそも体の関係を持ったとしても、僕の真由に対する気持ちは変わらなかった。

むしろ一回で捨てるとか、連絡を取らなくなるとか…そういう関係ではない。真由とは、深いところで繋がっている気がしたので、その後も変わらず連絡を取り続けた。

― Kentaro:真由ちゃん、おはよう。今日は何してる?

毎日連絡を取ることが、愛情表現なのかと言われたら、よくわからない。でも真由に会いたい、話したい…と思う感情があるのは本当だ。

そして真由も真由で、レスポンスも早いしサクサクと事が進む。そのテンポや会えるタイミングなど、すべてが僕にとって心地良い。

― Kentaro:おはよう。今夜ご飯でもどう?

― 真由:いいね。何時にする?

こうして、気がつけばほぼ毎日連絡を取り合うことになっていく僕たち。暇な時はとりあえず真由に連絡をするし、お互いの家も行き来する関係になった。

LINEではなく電話のほうが話が早い時や、声を聞きたい時は電話もする。時間が空けば、僕のほうから真由に会いにも行く。

「真由ちゃんに会いたくて」

これも事実だ。でも僕が「付き合おう」と言えないのには、理由がある。

例えば、友人の結婚式に参列した帰り、僕は何げなく真由の家へ寄ったのだが、真由からの質問に思わず狼狽えてしまったのだ。

「結婚式どうだった?」

別に、真由がプレッシャーをかけて来ているわけではないし、口うるさく何かを言われたこともない。

ただ「結婚式どうだった?」と聞かれて、思わず身構えてしまったのだ。

「俺はきっと、結婚とかできないんだろうな〜。今は仕事も忙しいし、そういうの考えられないや」

僕の返事に対して真由は何も言わなかった。そういうのも居心地が良い。

今は僕がこの関係に完全に甘えているのはわかっているが、この先ちゃんと交際となったら、結婚も視野に入れるつもりだ。

でも今は、まだ結婚が考えられない僕。

だから正式に付き合うのは荷が重い。そして何より、今の居心地が良すぎる関係が壊れてしまうのが嫌だった。

― これって、どちらかが「この関係何?」って聞いたら終わるんだろうな…。

そうぼんやり捉えている。けれども、僕にとっては今の状態がベスト過ぎる。

気軽に会えるし、楽しい時間を共有できる。うるさいことも言われず、ただ癒やされる。

真由もフットワークが軽いので、会える頻度も高いし、甘える僕に対してひたすら優しくしてくれる。

自分でもわかっている。関係性に名前をつけることから逃げていることは…。

無責任だけれど、今の“気軽で楽しい関係”が続けばいいなと思っている。



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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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