私は高校卒業後、祖父が社長を務める会社で秘書をしています。ところが祖父は、昔から私の弟ばかりをかわいがり、甘やかして何でも買い与えてきました。ワガママ放題に育った弟は、「男は学歴」と豪語する祖父のお金で大学に進学し、高卒の私や中卒の母を見下すようになってしまったのです。
家族さえ軽視
学歴主義の祖父の影響を受けた弟は、家族すら見下し、母が「自立しなさい」と諭しても「中卒が指図するな!」とあざ笑うまでに。エリート大学に通う自分を誇り、母や私と一緒にされることを嫌うばかりか、「俺と家族だと外で言うなよ」と、冷たい態度を取るようになりました。
祖父の財力や名声をかさに弟は、大学でもやりたい放題。いろいろな面倒ごとを起こしては、祖父にもみ消してもらっていました。それなのに、心配する母や私の忠告は完全無視。ついには「こんなに口うるさい低学歴一家とは住みたくない!」と暴言を吐きながら、家を出て行ったのです。
それから数年がたち、祖父が病気で逝去。会社経営のことも含めて、遺言書を残していたことが判明しました。そこには驚きの文言が。なんとバイトもしたことがない世間知らずな弟を、次の社長に据えるというものでした。
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新社長になった弟は?
こうして、本人も思いがけず社長に任命された弟は、「エリート社長になる!」と意気揚々と宣言。しかし実際は、まったく仕事をせずに社長室でゲームばかり。社員にも高飛車な態度で接し、企業経営のイロハも学ぼうとしません。
気の弱い父は名ばかりの役員で、やはり弟からはバカにされ、何も言えない状態。この弟に会社を任せていたら、他の社員さんたちが路頭に迷ってしまいます。そんなことは絶対にさせない、というわけで秘書の私も、パートながらあらゆる部署の業務に精通していた母も、一生懸命仕事に励みました。
そのかいあってか、わが社は業界でも注目の一社に。数年後には大成長を遂げ、一流企業と呼ばれるまでになりました。
ところが、そのとたんに弟がとんでもないことを言いだしました。それは、役職的にはパートをしていた母に、「低学歴は目障りだ」と突然退職を命じたのです。