ぼんやりしたい容量を空けないと入ってこない


「お酒も好き。お酒はそのときのご飯に合わせて何でも飲みます。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも『家飲み楽しい芸人』として出演させてもらいました」

――食はもちろん、読書もお好きですし、テレビも地上波は全番組を録画してたくさんチェックしていらっしゃいます。たくさんのことをして、さらにツッコミも入れて、頭の中はいつもフル回転ではないでしょうか。ぼんやり過ごすことはありますか?

 ぼんやりしたいですね。ぼんやりしないと入ってこないんでね。仕事が詰まりすぎて忙しいときは、ゾーンに入るので、夜中までして仕事して寝ずにまた仕事に行って、脳がグルグル回って調子がいいときもあるんすけど、どこかでガソリンが切れたみたいになるので、やっぱり容量を空けないと次のものが入ってこない。
「録画した番組、これとこれとこれ見た。新刊でこれ読みたい。ネットフリックスはこれとこれ、めっちゃ楽しいやん」みたいなポジティブなときはいいんですけど、「これ見なあかん、一応チェックしとかなあかん」というときは調子が悪い時ですね。年齢的にも時間はそんなにないので、「見なきゃあかん」という義務を感じたら、一回その義務感をちょっと置いていいかなと思う。

――確かに、楽しみが義務感に変わることってありますよね。

自分がご機嫌であることが最強なんでね。世間が「いい」と言ってるからといって、自分がときめかないものを見るのは一番ムダかもしれません。全12話のドラマで「5話まで我慢して見てみて、そのあとおもしろくなるから」とかおすすめしてくる人いません? けど、5話まで我慢せなあかんドラマってよくないんちゃうか(笑)とか思ったりね。

――『細かいところが気になりすぎて』には、自分との対話にじっくり取り組むために熱海に一人旅に行ったときのエピソードも綴られています。そのときにノートを持って行ったと書かれていますが、頭を整理するために手書きのノートを常に持ち歩いているのでしょうか。ネタも書いたりします?

 いや、あれは改めて自分と向き合うために、思いついたものを走り書きでワーッと書くつもりでノートとペンがいいかなと思ったんです。ノートにセリフを全部書くみたいなネタ帳はだいぶ前にやめました。今は携帯のメモ帳にテーマとなる単語を3個くらいメモって、会話をこういうルートで展開したいかなと何となく決めて、鰻と一緒にヨーイドンでしゃべってみる。一発目のふんわりとしたやつをレコーダーにとることはあります。一発目に出たのがほんまのリアクションだと思うんで。この方法にしてから楽しくなりましたね。

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結成20周年、どんどん楽しくなっている


漫才の話になると「楽しい」を連発する橋本さん。その楽しさが視聴者にも伝わってくる

――銀シャリは2025年に結成20周年を迎えます。鰻さんへの思いも『細かいところが気になりすぎて』に綴られていますが、この20年を振り返っていかがですか。

 早かったですね。どんどん楽になって、どんどん楽しくなってるんで、これからもどんどん楽しくなると思う。キャリア重ねたほうが楽しいですね。

――それはすごいですね。ベテランになるほど「絶対にスベれない」というプレッシャーが増してくるのかと思いました。

 体力がなくなってきてしんどくなるから、変なプライドや自意識にかまっていられない。そんなことで悩んだり揉めてもしょうがない。その日のコンディションがあるだけの問題だと長いことやってきてわかってるんで。明日直ってれば別にいい。それがラクですよね。

――あとがきにも「読者のみなさん、日常生活においてムカついたり、切なかったり、苦しかったりした時はその怒りを脳内で少しだけツッコミ口調に変換してみてください。それだけで少し、目の前で起きている事象が『ボケ』に見えてきますから」と書かれてます。この言葉はとても励みになります。

 みなさんも自分のために日記を書いたり、聞く人がいなくても1人でラジオみたいにしゃべったりするとデトックスできると思います。この本が皆さんのモヤモヤを解消するヒントになったら嬉しいですね。食べ物の話もあって共感していただけることも多いと思うので、ぜひ読んでください!

●銀シャリ単独ライブツアー「シャリとキリギンス」
・2024年11月23日(土・祝)@大阪
前売:4500円/当日5000円

●銀シャリ産地直送漫才~47都道府県巡り~
・2024年11月24日(日)@熊本
・2025年2月2日(日)@愛媛
鰻特製ご当地ステッカーなどグッズも販売。
※詳しくはFANYチケットをご覧ください

(取材・文◎安楽由紀子)