女児7人“わいせつ”元保育士に懲役14年判決 「悪質性が顕著」「処罰感情は至極当然」裁判長が強い口調で告げる

勤務していた保育園で、7人の女児らにわいせつな行為をしたとして不同意性交等罪や性的姿態撮影などの罪に問われていた元保育士・長田凪巧(なぐみ)被告(27)に対し、東京地方裁判所(室橋秀紀裁判長)は14日、懲役14年の判決を言い渡した。

被告人は公判が開始された当初から起訴事実をすべて認め、被害者とその家族に謝罪の言葉を述べていた。一方、公判には被害児童の保護者らも「被害者参加制度」を利用して参加。意見陳述などを行った。

先月の論告で検察側は「保育士という立場を悪用し、連続して犯行に及んでおり、極めて卑劣で悪質。被害者らの心身に与えた影響は甚大で、結果は重大だ」などとして懲役15年の実刑を求めていた。

死角に誘導、バンダナで目隠し……繰り返された犯行方法

勤務した2カ所の保育園で、計7人の女児らにわいせつな行為をした被告人。裁判で明らかになった犯行方法は、パターン化しているようだった。

まず、「おひるね」の時間に起きていた児童に声をかけたり、プラレールの部品のありかを聞くふりなどをして、押し入れやトイレ、ピアノの下など死角に呼び出す。そして犯行時、被害児童のほとんどはバンダナで目隠しをされていた。また、被告から“口止め”されるという共通点もあった。

しかし、児童のうち一人が保護者に打ち明けたことで事件が発覚。他6人に対しての余罪も明らかになった。

裁判で検察官から、犯行を続けながら保育士として働く自分をどう思っていたかと問われ「率直に不適切であると思っていた」と答えた被告人。不適切であると理解しながら、なぜ犯行が繰り返されたのか。

その理由について、被告は「頭と心では止めなくちゃいけないと常々思っていたが、体が反対方向を向いていた。自分のコントロールを失っていた」と語り、自身について「性依存症」だとして治療の意思を示した。

こうした被告人の裁判での態度について、被害者家族は「犯行の原因を病気や意志の弱さにするなど他責的」と非難していた。

裁判官「処罰感情は至極当然」 被害者家族への理解強調

これまでの公判中、厳しい表情や口調を崩さなかった室橋裁判長。14日の判決期日では、いつもよりさらにはっきりとした強い口調で、主文(懲役14年)の理由を次のように述べた。

「2年にわたり2カ所の保育園で7名の児童へ犯行を行った。性的意図が理解できない子どもに対し、立場を悪用し犯行に及んだことは、悪質性が顕著で、厳しく処分されるべきだ。被害結果も言うまでもなく大きい。また、後から見返すためなどとして犯行の様子を動画で撮影していたことも看過できない。

被害者(家族)の処罰感情は至極当然。犯情も悪く、刑事責任は重大だ。被害者へ謝罪したことや前科前歴がないことを考慮しても、主文の刑は免れない」

この間、被告人は裁判長が座る方向をまっすぐ見つめていた。

判決を受けて、被害者家族側は何を思ったのか。出廷はしていたようだが、ついたてで仕切られており、傍聴席からその様子を伺い知ることはできなかった。

ただ、傍聴を続けた記者の耳には、被害者家族の意見陳述での言葉が残っている。

「私たちは未来がつぶされ、苦しい生活がいつまで続くだろうかと先が見えませんが、被告人は裁判で『出所したら』と未来を見ていました。性犯罪は心の殺人と聞いたことがありますが、その通りだと思います。私たちは被告人を決して許せません」