月間売上2100万円を記録した“元女性ホスト”が語る「たくさん傷を負ってきた僕だから、できること」

新宿・歌舞伎町ではカネの流れが目まぐるしく進化する。“欲望”を巧みに操り稼ぐ者もいれば、ルール無視や大胆な犯罪で強奪する者も……。そして訪れたインバウンド需要で、さらに変貌を遂げた東洋一の歓楽街の裏の顔に迫る。今回はトランスジェンダーのホスト、桜木大夢さんに密着した。

◆歌舞伎町新時代の幕開け“元女性ホスト”活躍のワケ

多様性の時代においても、“男と女”の関係性がより強くなるのが、歌舞伎町。特にホストクラブはその象徴……だった。今年オープンの「Blue Rose」は、“性別女性”のホストが同性を誘い、新たな時代を形成中だ。

「ここには女性のままの方もいれば、僕のようなトランスジェンダーもいるし、男性ホストもいます。性のカタチは関係なく必要なのはお姫様を“愛せるか”です」

そう話すのは同店で主任を務め、月間売り上げ2100万円も記録した桜木大夢さんだ。性別は男性だが、生まれつきの性別は女性。性別適合手術を受けて働いている。

◆“女性ホスト”ならではの強みとは

彼の語る“女性ホスト”の強みとは?

「女性の気持ちがわかることですね。求めていることが分かるというか。宝塚や少女漫画のような世界観で、推し活みたいな雰囲気があります」

とはいえ、“女性ホスト”に対する風当たりは強い。

「中途半端でかわいそう、女だったら枕できないじゃんなどと、心ない言葉もたくさんありました。だから、結果で黙らせるしかなかったんです」

◆桜木大夢さんが語る大願

彼の原動力となったのは、同店代表を務め、年間2億円を売り上げる絶対王者・天使ニアさんの存在だった。

「ニアさんは僕の憧れで、ホストになりたての頃は、少しでも近づけるように模倣していました。でも、ニアさんはレズビアンで、僕はトランスジェンダー。求められているものが違う。他店に比べていろんなマイノリティのお姫様も多い。子どもの頃から奇異な目で見られ、たくさん傷も負ってきた僕だからこそ、いろんな境遇の方に寄り添える。その強みに気づかせてくれたのもニアさんでした」

大夢さんには大願がある。

「お世話になったニアさんを抜いて、ナンバーワンになること。それが、ホスト流の恩返しだから」

さまざまな人種が集う歌舞伎町こそ、ありのままの姿が肯定されるのだろう。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

※11月19日発売の週刊SPA!特集「裏歌舞伎町ルポ」より

―[裏歌舞伎町ルポ]―