ポイントは「選挙運動員」か「事務員」か
この記事に記載されているメルチュの活動は、公職選挙法違反に当たる可能性はあるのか。特に、報酬を受け取っていた場合はどうか。
J-CASTニュースの取材に応じた弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士は、
「兵庫県知事選における齋藤元彦氏の当選のための得票を目的として運動しているように見えますから、もしも齋藤氏から株式会社merchuにお金が払われていたりしたなら、公職選挙法違反になる可能性があります」
と指摘する。
選挙運動員の買収について、正木弁護士は、「インターネット上での活動であれ、『選挙運動』に対して報酬を支払っていた場合、そのほとんどは公職選挙法違反になる可能性があります」と説明する。選挙運動とは、総務省のサイトによると、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」。この活動に対して報酬を払う場合、公職選挙法221条1項に該当することが多いという。
しかし、報酬の支払いが認められている例外もある。車上運動員(いわゆる「うぐいす嬢」)や事務員がそれにあたるという。
正木弁護士は、記事を読む限りでは、折田氏らが「選挙運動員に当たるということまでの断言はできません」ともみている。
「選挙活動中も、単なる事務員に対してであれば報酬を払う事が許されており、実際の活動内容によっては、本条の適用外になる可能性もあります」
(広告の後にも続きます)
広報全般を任せていれば「選挙運動員に当たる可能性が高くなる」
記事で削除された「SNS運用フェーズ」の画像について、SNS運用について告示前からのスケジュールが記載されているが、告示前からSNS戦略が行われていたとしたら、公職選挙法違反となるのだろうか。
正木弁護士は、実際に選挙運動に当たるかどうかは裁判所が判断するため「今回のSNS運用が事前の選挙運動に当たるのかどうかを断言はできません」としつつ、「例えばハッシュタグであれば『♯さいとう元知事がんばれ』ですから、特定の選挙を意識などしたものでもなければ投票を呼び掛けるものでもなく、選挙運動に該当しない可能性が高い」とみる。
また、削除された「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」との文章についてはどうか。総務省のサイトでは、「一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合」に業者へ報酬を支払うと、買収となるおそれが高いとしている。
折田氏が主体的に企画立案したことを示していることにならないだろうか。
正木弁護士は、あくまで折田氏とメルチュ従業員が「規制対象である選挙運動員に当たるかどうかが重要」とし、実際の活動において「事務作業に留まらず広報全般を任せているなら、それは単なる事務員などではなく、選挙運動員に当たる可能性が高くなるように思います」とした。