◆ジャパンカップに出走する外国馬の成績は?
今週末の中央競馬はジャパンカップ。海外の強豪と日本のトップホースがガチンコでぶつかり合う夢の舞台……だったのですが、近年は様相が異なります。
それもそのはず。直近10年の外国馬の成績は0-0-0-25(左から1着数、2着数、3着数、4着以下数。以下同じ)。延べ25頭が出走して、勝利はおろか、一度たりとも馬券に絡んでいないのです。
こうした過去のデータにならって好走例のない馬を消したり、逆に、特定の条件を重ねることで好走例の多い馬を炙り出す手法は、歴史のある馬券術の一つ。実際、私が20年以上前に競馬誌の編集部に配属されて最初に割り振られた仕事は、週末の競馬新聞を眺めて、専門家の方が用意した消去データに当てはまっている馬をピックアップする作業でした。
温故知新というわけではありませんが、最近、私も暇をみつけては、重賞レースの過去データを検証して、Xでポストするように心掛けています。理屈の有無はともかく、数字上で「買い」や「消し」がハッキリ示されるとワクワクするんですよね。ということで今回は、今週行われるジャパンカップの「買いデータ」「消しデータ」を紹介していきたいと思います。
※データは過去10年
◆実績のある父キングマンボ系の馬は「買い」!
・買いデータ①
「前走G2以上&前走1着&前走馬体重490kg以上」
・4-1-2-3 複勝回収率120%
今年の該当馬:3ドウデュース 9チェルヴィニア
「前走で格のあるレースを勝ち切っている馬格のある馬」ということですね。2023年1番人気1着のイクイノックスや22年3番人気1着のヴェラアズールなどが該当しており、今年は上位人気が目される2頭が当てはまっています。
・買いデータ②
「父キングマンボ系&5歳以下&国内GⅠ優勝歴あり」
・2-3-2-2 複勝回収率107%
今年の該当馬:10ドゥレッツァ 14スターズオンアース
キングマンボ系の種牡馬はキングカメハメハ、ルーラーシップ、ロードカナロア、ドゥラメンテ、エイシンフラッシュなど。今年該当の10ドゥレッツァと14スターズオンアースはともにドゥラメンテ産駒で、ドゥレッツァは昨年の菊花賞を、スターズオンアースは22年の桜花賞、オークスを制しています。
実はもう一つ「買いデータ」を準備していたのですが、木曜日に確定した枠順により、該当馬が不在になってしまったので割愛します。
◆過去10年で好走例のない「消しデータ」とは?
続いては「消しデータ」について。冒頭で紹介した「外国馬」もここに含まれますね。
・消しデータ①
「6歳以上」
・0-0-0-50 複勝回収率0%
今年の該当馬:11カラテ
過去10年、6歳以上の馬は一度も馬券に絡むことができていません。15年のゴールドシップは2番人気に推されたものの10着大敗、4歳時にジャパンカップで2着の実績があったキセキも6歳で挑戦した20年は6番人気8着に敗れました。究極のスピード決着に対応するには、若さが必要なのかもしれません。
・消しデータ②
「馬番9~18&前走6番人気以下」
・0-0-0-39 複勝回収率0%
今年の該当馬:11カラテ 12ソールオリエンス
ジャパンカップは、過去10年で1枠が5-4-1-7、8枠が0-0-2-25という内枠有利、外枠不利の傾向が強いレース。内枠に越したことはなく、前走で上位人気に支持されるような実績上位or近況が充実している馬でないと、外目の枠から好走するのは厳しいということでしょう。
過去の該当馬は16年2番人気5着のリアルスティール、17年7番人気11着のシャケトラなど。カラテは前走の毎日王冠で13番人気、ソールオリエンスは前走の天皇賞(秋)で7番人気でした。
◆データを覆しかねない大物が海外から参戦
以上、買いデータを2つ、消しデータを2つ(外国馬のデータを含めれば3つ)紹介しました。
今年のジャパンカップには、海外生まれのディープインパクト産駒でG1 6勝の実績を誇るオーギュストロダン、さらには今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでブルーストッキング(のちの凱旋門賞馬)やレベルロマンス(今年のドバイシーマクラシック、BCターフを優勝)を降しているゴリアットといった強力な外国馬が参戦してきました。週中の盛り上がりぶりをみると、上位人気に推される可能性も高そうです。
過去データを信じるなら“消し”。しかし、今年の外国馬は一味違うとみれば“買い”。データが勝つか、それともデータが覆されるのか。
注目のジャパンカップは24日、15時40分発走です。
文/松山崇
【松山崇】
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。