“映画音楽”を生み出した愛すべき作曲家
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras
「彼は、映画音楽の発明者だ」と劇中で語られるのは、2020年に91歳で逝去した映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ。彼の半生を『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督が追ったドキュメンタリーです。
モリコーネは自らの意思で音楽家になったわけではなく、父の勧めでトランペット奏者になるため音楽院へ入学したといいます。そんな彼が映画に音楽をつけることで類まれな才能を発揮し、やめよう、やめよう、と思いながら500作品以上の映画とTVの音楽を手掛けてきたのはなぜなのでしょうか。
©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras
音楽をつけた『続・夕陽のマンガン』が高い評価を得たことで西部劇ばかり依頼されるようになったこと、スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』の音楽を依頼されたのに行き違いで担当できなかったことを悔やんでいることなど、興味深いエピソードが本人や関係者の言葉で語られます。本作を撮影したジュゼッペ・トルナトーレ監督との思い出には心が和みます。
©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras
多くの実績を残しながらもなかなか賞に恵まれなかったモリコーネは、アカデミー賞に6度のノミネートの末、クエンティン・タランティーノ監督のミステリー西部劇『ヘイトフル・エイト』(2015年)でついに作曲賞を受賞しました。『続・夕陽のマンガン』風の音楽ではなく、まったく違う本物の交響曲を提供したモリコーネ。老齢になっても新たな挑戦をする意欲に敬服します。
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
2021年製作
Blu-ray ¥5,390/DVD ¥4,290
発売元・販売元:ギャガ
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