レバノン出身のデザイナー、エリー・サーブの45周年を記念したファッションショーがサウジアラビアの首都リヤドで行われ、セリーヌ・ディオン、ジェニファー・ロペス、ハル・ベリーら豪華セレブが集結。それぞれが「エリー・サーブ」の見事なドレスをまとってステージに登場し、デザイナーの輝かしいキャリアを祝した。マリ・クレールインターナショナルのフランス版デジタル記事よりお届け。
セリーヌ・ディオンのパフォーマンス、1500人の招待客、300着のクチュールドレス:エリー・サーブが壮大なショーで“誕生日”を祝う
エリー・サーブは、2024年11月13日(現地時間)にリヤドで開催された、見どころ盛りだくさんなファッションショーで、ファッションビジネスにおける45周年を祝った。ファッション、ダンス、音楽を融合させた完全な芸術的祭典だった。この特別な夜を振り返ってみよう。
1982年、エリー・サーブがレバノンの首都ベイルートで自身の名を冠したメゾンを立ち上げたとき、彼はまだ18歳だった。そのデザイナーが自身のコレクションを発表するのにまず選んだのは、ローマで行われたアルタモーダ(イタリア語でオートクチュールの意味)・ウィークだった。1999年パリ・クチュール組合に招待されて、パリでショーを行うようになり、3年後にはフランス・オートクチュール&モード連盟の準会員となった。そのエリー・サーブが創業45周年を前に、サウジアラビアのリヤドで見どころ満載なショーを披露した。
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「42年前に最初のアトリエを構えましたが、15歳から18歳まで、すでに服のデザインをしていました。その数年間にスポットを当てたかったのです」と、イベントのバックステージでそのクチュリエは打ち明けた。『千夜一夜物語』にちなんで「エリー・サーブの1001シーズンズ」と名付けられたこのイベントは、準備に1年以上を費やした。
水彩画タッチの花柄ドレスに身を包み、会場に到着したセリーヌ・ディオン Photo: Rani Fawaz
1500人のゲストを収容するために、サウジアラビアの首都リヤド郊外に巨大な建物が建てられた。将来的には、王国が2019年に開始した文化イベント「リヤド・シーズン」(サウジアラビアの首都リヤドで毎年冬に開催されるエンターテインメントの祭典)のその他のイベントをこの建物で開することになる。ボクシングの試合、コンサート、授賞式……10月から3月にかけて、この都市は最高の衣装をまとい、国際的なスターを迎えて、この国が変わりつつあることを世界にアピールする。
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開催地はサウジアラビア
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そして実際、2016年以降、サウジアラビアはムハンマド・ビン・サルマン皇太子(兼首相)の指導の下、その極めて保守的な政策を緩和させてきた。わずか数年の間に、公共の場での男女の分離が解禁され始め、女性は運転と旅行の権利を獲得した。同時に女性の就労も奨励され、6年間でサウジアラビアの女性就業者数は倍増した。
NGO団体アムネスティ・インターナショナルは、それでもこの国の最新の法整備は十分とは言い難いと指摘する。「ムハンマド・ビン・サルマンは進歩と平等への一歩として提示していますが、この国の家族法は、自分とその子どもたちの人生について決定する女性の自主性を尊重せず、女性が直面する差別を永続させるものです」と同NGOの中東・北アフリカ担当ディレクター、Heba Morayef(ヘバ・モライフ)氏は2023年に宣言している。
実際には、こうした漸進的な変化は長年、炭化水素(石油・天然ガスの主成分)を基盤としてきたサウジ経済を多様化させ、欧米人の目から見てドバイのような旅行先と同じくらい魅力的な国にするために、ほこりを吹き飛ばしたいという政府の願望を反映している。
このような背景から、エリー・サーブは「リヤド・シーズン2024」に参加するために招かれ、この国から一部補助金を得てショーを行った。創業デザイナーが代々サウジアラビアの王女たちにドレスを着せてきたこともあり、中東を主な市場としているこのメゾンは、サウジアラビアと非常に密接な関係にあると言わざるを得ない。