女性が更年期以降も豊かな人生を送るためには、仕事や趣味だけでなく、充実した性生活を送ることも大切。性欲の変化や性交痛、セックスレスなど、人には聞きづらい50代の悩みと対処法をご紹介します。

性欲は年齢や環境で変化する

まずは性生活と切り離せない性欲について見てみましょう。

性欲のしくみ

女性の体では、女性ホルモンだけでなく男性ホルモンもつくられています。女性の性欲にはこの男性ホルモンが関わっており、男性ホルモン値は加齢や環境、ストレスなどによって変化します。

また、性欲には「ドーパミン」や「オキシトシン」「セロトニン」などの脳内物質も関わっています。

恋愛の第一ステージではドーパミンがつくられます。ドーパミンは相手にドキドキして胸が高鳴るときなどに分泌され、快感や多幸感、意欲などを高めますが、長続きしないのが特徴です。

そして恋愛が安定する第二ステージでは、オキシトシンやセロトニンがつくられます。オキシトシンは親しい人とのスキンシップで分泌され、愛着を深めたり、情緒を安定させたりする働きがあります。セロトニンは安らぎやリラックス感などをもたらします。

つまり、体の中では恋愛のステージに合わせて必要な男性ホルモンや脳内物質がつくられており、性欲にはこれらが大きく関わっているのです。こうしてみると、年齢や環境によって性欲が変化するのは自然なことといえます。

更年期の性欲が増減する理由

更年期の女性では、性欲が減ったと感じる人もいれば、逆に高まったと感じる人もいて個人差があります。更年期とは閉経を挟む前後10年間を指し、一般的に45~55歳ごろまでです。

更年期に性欲が減退する場合、理由として次のようなことが考えられます。
● 妊娠という目的がなくなり性への関心が薄れる
● 恋人から家族やパートナーになったことで安心し、セックスへの意欲が薄れる
● 性交痛がありセックスがつらい
● 仕事や家事、子育て、親の介護などでストレスを抱えている

一方、更年期に性欲が増進する場合は、以下のような理由が考えられます。
● 性経験を重ねることでオーガズムを得やすくなる
● 更年期に女性ホルモンの分泌が減少し、相対的に男性ホルモンが強く働くようになる

変化する性欲への対処法

更年期に性欲が減ったと感じる人のうち、特に性欲を高めたい気持ちがない場合は、そのまま自然の変化に身を任せてよいでしょう。

一方、性欲を高めたい気持ちがある場合は、性欲が減っている原因を理解し、高められる工夫をしてみましょう。具体的には以下のような方法があります。
● 性交痛が原因の場合は、婦人科で治療する
● パートナーがいない場合は、新しい出会いを探すなど、胸が高鳴る体験をする
● 恋愛ドラマやセルフプレジャーアイテムなどを活用して気分を高める

セルフプレジャーアイテムとは性的な快楽を得るためのグッズのことで、近年は女性用も充実しています。

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更年期は性交痛が起こりやすい


更年期に性交痛で悩む女性は少なくありません。つらいときは我慢せず婦人科に相談しましょう。

性交痛の原因

更年期における生殖器の悩みには、性交痛のほか、外陰部や膣の乾燥、かゆみ、痛み、灼熱感、おりもののにおいが気になる、などがあります。

これらは加齢に伴いデリケートゾーンが乾燥して刺激に弱くなることや、女性ホルモンの分泌が減少して膣が委縮することなどが主な原因と考えられます。ほかに、子宮がんなどの病気が原因で性交痛が起こる場合もあります。

性交痛の対処法

性交痛があるときは病気が潜んでいる場合もあるので、まずは婦人科へ相談しましょう。膣の乾燥や萎縮が原因の場合は、軟膏やホルモン補充療法、レーザー治療などの治療法があります。

ホルモン補充療法は、加齢に伴い減少した女性ホルモンを補充することで症状を改善させるもので、飲み薬、貼り薬、塗り薬などがあります。レーザー治療は、膣に炭酸ガスレーザーを照射し、コラーゲン生成を促すことで症状を緩和させるものです。

性交時の対処法としては、ゼリーやローションなどの潤滑剤ですべりをよくすることで痛みを和らげるほか、挿入のないセックスをする方法もあります。

セックス=「挿入までの行為」と思われがちですが、挿入のないセックスは「バニラセックス」と呼ばれ、セックススタイルのひとつとして注目されています。