警視庁保安課は11月26日、スマホなどから海外のオンラインカジノにアクセスし、賭博を行ったとして20~60代の男女10人を賭博容疑で書類送検した。送検された10人の中には公務員や主婦、消防庁職員などが含まれ、約3000万円の損失を出したものもいたという…。
警視庁担当記者が事件について説明する。
「送検された10人は昨年4月29日~今年9月19日にかけ、国内からスマートフォンやパソコンを使い、海外で運営されているオンラインカジノサイト、『ベラジョンカジノ』『スポーツベットアイオー』などにアクセス。暗号資産を使用して、サッカーなどのスポーツ賭博やバカラ、ルーレットを行っていました。10人は容疑を認めていますが、“暗号資産を使えば足がつかないと思った”などと供述。違法性を知りながら安易な気持ちでギャンブルに興じていた者もいたようです」
摘発者の一人は「取り締まりは受けないと思った」などと話していたという。
このように海外運営のカジノサイト利用は“合法”との考えがいまだ消えないが、たとえカジノが合法の国でサイト運営されていたとしても、日本国内からサイトにアクセスして賭博をするのは違法行為(賭博罪:刑法185条、常習賭博罪:同186条1項)にあたる。
サイト運営側は大体的に広告展開
それでも、海外を拠点とするサイト運営側は大体的に広告展開するなどで、日本国内での利用を促進。“安全性”までうたい、日本人利用者増に多額の資金を投下している。
その一翼を担う、アフィリエイターが常習賭博ほう助で逮捕されるなど、昨今はオンラインカジノに対する規制は厳しさを増している。今年2月には会員約7万人のオンラインカジノサイト運営者が摘発され、利用者に衝撃が走った。
警視庁は10人に対し、起訴を求める『厳重処分』の意見を付けている。こうしたことからも、事態を重くみていることは明らかだ。
摘発のきっかけとなったある事件
オンラインカジノに対する包囲網が着々と固められる中で今回、10人の賭博が摘発に至ったのは〝ある事件〟がきっかけだったという。
「捜査の端緒は昨年9月に摘発された決済代行業者『スモウペイ』の摘発がきっかけです。スモウペイはカジノの客らに代わって海外のカジノサイトとの決済代行を行っていた業者です。カジノが海外で運営されていた場合、摘発は難しいですが、国内で運営されていた決済代行業者を“常習賭博ほう助容疑”で摘発することで根っこをつかんだのです」(前出・記者)
このスモウペイの捜査過程で全国130人が海外カジノサイトでギャンブルを行っていたことが発覚したのだという。
「警視庁はスモウペイの摘発で発覚した130人を暗号資産追跡ツールを用い特定。特定した客らを24府県警ですでに47人(賭博容疑で)書類送検しています。関東圏で多発している一連の強盗事件の実行犯の中にも安易な気持ちでオンラインカジノに手を出し借金を抱え、闇バイトに応募した者もいます。賭博だけではなく、賭博から派生する犯罪を“根絶やし”にするといった意味でも今回の摘発は画期的なものだと言えます」(同前)
24都府県警は、今後も特定した130人を順次立件する方針で捜査を続けている。
“違法カジノ”から闇バイト――。徹底捜査による悪の連鎖の早期断絶が期待される。