新NISAの成長投資枠で個別株に投資していたが、株価が下落してしまった‥。そんなとき、個人投資家はどのような対応をするべきなのでしょうか。本記事では、DAIBOUCHOU氏による著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集して、DAIBOUCHOU氏が株価が下がった時の考え方について解説します。

株価が下がった時に特定すべきこと

伸びると思って投資した銘柄の株価が下がった時、売却するか、我慢して持ち続けるかを判断するには、まず株価の下落要因が何であるかを特定する必要があります。

株価が下げる要因は、個別要因と相場要因に大別できます。個別要因は、その会社に何か悪材料が出て株価が下げることで、相場要因はマーケット全体が下げたことで、それに引きずられて株価が下げることです。

後者の事情で株価が下げた時は、これはもう仕方がないということであきらめてください。あえて売却する必要もないでしょう。相場全体の下落に引っ張られて株価が下げた時は、時間が経てばどこかで再び相場全体が上昇に転じるので、その時には株価が回復していくはずです。

しかし、相場全体が上昇しているのに、自分の保有株が下げている時は、要注意です。

その時はまず競合他社の株価をチェックします。同業他社に何か悪材料が出て、同業者の株価も引きずられて下げているケースが考えられるからです。

その場合、自分が保有している会社にまで、その悪影響が及ばないと判断した時は、保有したままで大丈夫ですが、業界全体に波及するような問題であれば、売却します。

率にして5%程度下げたら要警戒で、投資先企業に何か大きな問題が生じていないかどうかを、しっかりチェックするようにしてください。それでも保有すると判断した時には、下落に対して自分が説得力のある反論ができるかどうかも考えましょう。

説得力のある反論ができるなら保有し続ければいいし、反論できない場合は売却を考えます。

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新NISA=ひたすら保有ではなく、柔軟に売却することも考える

たとえば、2024年に入ってから話題になった三井E&S(7003)の株価チャートを見てください。[図表1]



[図表1]株価の下落を反論できるか? 出所:会社四季報オンライン
出所:『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より抜粋

一時は売買代金でレーザーテック(6920)を超えて、東証全銘柄で売買代金1位になったなどと話題を呼んだ銘柄です。

株価は2024年の前半で700円から700円台後半で推移していたのが、2月中旬から3月8日にかけて、2,898円まで急騰しました。今年に入って、三井E&Sに投資した人からすれば、かなり大きく儲けることのできた銘柄と言っても良いでしょう。

でも、もっと長期の株価推移を見るとどうでしょうか。実は2007年8月9日の株価は、7,370円を付けているのです。それが株価のピークで、一気に値下がりし、2022年3月9日には312円まで下落しました。実に20分の1以下にまで値下がりしたことになります。[図表2]



[図表2]長期的に下げ続ける銘柄は売却 出所:会社四季報オンライン
出所:『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より抜粋

このような長期的な下げに付き合ってしまったら、いくら新NISAの成長投資枠が非課税だったとしても、全く意味がありません。2024年になってから株価が急騰したといっても、ピークの株価に対してまだ半分も戻していないのです。

これはいささか極端な例ではありますが、いくら他の銘柄の株価が値上がりしたとしても、これだけ大きく下げた銘柄を持っていたら、ポートフォリオ全体のリターンは、かなり停滞してしまいます。

そうならないようにするためにも、成長投資枠で個別株に投資する場合は、塩漬けになっても保有し続けて、とにかく1,200万円の枠を積み上げることを目的化することなく、柔軟に売却することも考えておく必要があるのです。

専業投資家インフルエンサー

DAIBOUCHOU

※本記事は『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。