【セルフチェック】その寝汗、放っておくと危険かも⁉ 受診が必要な症状の目安と注意すべき病気とは

ひどい寝汗をかくときに注意したい病気

ここからは、ひどい寝汗につながることがある病気についてご紹介します。

多汗症

多汗症とは、日常生活に困るほど大量の汗をかく病気のことです。

全身にたくさんの汗をかく「全身性多汗症」と、顔や頭部、手のひらや足の裏、脇の下など特定の場所に汗をかく「局所多汗症」があります。

他の病気やケガなどが原因の場合は「続発性多汗症」、原因がわからない場合は「原発性多汗症」に分類されます。

更年期障害

更年期には女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が大きく低下します。この急激な変化によって、心身に起こるさまざまな症状が「更年期症状」です。

更年期症状が重く、日常生活がままならないほどつらい状態は「更年期障害」と呼ばれます。

寝汗だけでなくその他のつらい症状もある場合は、更年期障害の治療を検討するのも一つの方法です。生活習慣の改善の他、漢方薬やホルモン補充療法(HRT)といった治療法があります。

自律神経失調症

自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経の2つの自律神経のバランスが崩れて起こるさまざまな症状のことです。ストレスや不規則な生活などが原因となって起こります。

閉経前後はホルモンバランスの急激な変化により、女性の一生のうちでも最も体調のゆらぎが起こりやすい時期です。更年期の時期に一時的に自律神経失調症を発症するケースもあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているときに何度も呼吸が止まったり(無呼吸)、呼吸が弱くなったり(低呼吸)する病気です。体が低酸素状態になるため熟睡できず、いびき、寝言、倦怠感や気分の落ち込み、日中の強い眠気などが起こります。

寝汗も睡眠時無呼吸症候群の一つで、睡眠時に軽い窒息状態になることから苦しくなり、寝汗が起こります。

睡眠時無呼吸症候群は放置すると心臓循環障害や脳血管障害、高血圧、生活習慣病のリスクを高めてしまうため、注意が必要です。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、体の機能が働く速度が上昇する病気の総称を指します。甲状腺機能亢進症の代表的な病気が、バセドウ病です。

新陳代謝が活発になるため、暑がりになる、汗が多くなる、脈拍が速くなる、微熱(37.5℃前後)などの症状が見られ、寝汗がひどくなることもあります。

低血糖症

低血糖症は、糖尿病で治療を行っている人によく見られる症状です。

普段から低血糖になっている人は寝ているときも低血糖を起こしていることがあり、それによって寝汗につながっている可能性が考えられるでしょう。

呼吸器疾患(結核や肺炎など)・感染症・悪性腫瘍

着替えが必要になるほどのひどい寝汗は「盗汗(とうかん)」と呼ばれます。

盗汗は頭部・首から胸のまわりといった上半身や腰から股の周囲に多く見られ、運動時や通常の寝汗のサラサラした汗とは違い、粘っこいことが特徴です。

盗汗は昔から、結核などの感染症や、がん(体力がゆっくり消耗することから消耗性疾患と呼ばれることも)などで良く見られる症状といわれています。

結核というと昔の病気というイメージがあるかもしれませんが、厚生労働省が公表する『2020年 結核登録者情報調査年報集計結果について』によれば、2020年に新たに結核患者として登録された人は1万2739人で、今でも1万人以上患者がいる病気です。

結核の初期症状は風邪と似ているため、気づかない人も少なくないといいます。

また、悪性リンパ腫(血液のがん)でも、全身症状として寝汗、倦怠感、体重減少などが現れます。肺がん、胃がん、大腸がんといった悪性腫瘍(がん)も、進行すると寝汗が出ることがあります。

寝汗が長く続く場合や他の症状も見られる場合は、早めに病院を受診して詳しい検査を受けましょう。

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寝汗が気になるときの対処法

ここからは、寝汗が気になるときの対処法をご紹介します。

生活リズムを整える

起きる時間・寝る時間・食事の時間などがバラバラだと、自律神経が乱れやすくなります。なるべく規則正しい生活を送るようにすると、体内時計が整い、自律神経が安定しやすくなるでしょう。

朝起きたときに太陽の光を浴びると、乱れた体内時計がリセットされるためおすすめです。

ストレスを減らす

過度なストレスは自律神経を見出し、過剰な寝汗の原因になります。ストレスをゼロにすることは難しいですが、定期的にストレス発散をするなど、ストレスを減らす工夫をしましょう。

適度な運動やストレッチ、湯船にゆっくり浸かる、アロマやハーブティーでリラックス、音楽・映画・読書を楽しむなど、自分に合った方法を試してみるのがおすすめです。

睡眠環境を改善する

寝汗の原因が睡眠環境にある場合は、寝るときの環境を整えましょう。

寝室の室温・湿度・明るさ
寝具やパジャマ

睡眠に適した室温・湿度は、季節によって異なります。

寝具を使いパジャマを着て寝る場合で、「夏は室温26℃、湿度50%前後」「冬は室温16〜19℃、湿度50〜60%前後」といわれています。エアコンや加湿器を使って室温や湿度をコントロールするといいでしょう。

また、寝床内気象(寝具内の空間の温度・湿度のこと)も大切です。「寝具内部は温度33℃、湿度50%前後」が快適に眠れる目安となっています。

快適な睡眠環境のため、体に合っていない寝具や、通気性の悪い素材のシーツ、パジャマなども見直すといいでしょう。綿やシルクといった天然素材のものは吸湿性が高く、快適な眠りにつながりやすいです。

イソフラボンやエクオールを摂取する

更年期が原因と考えられる場合は、栄養バランスの良い食事に加えて、エストロゲンに似た働きをするイソフラボンやエクオールを摂取するのもおすすめです。

イソフラボンを摂ってもエクオールまで変換できない体質の場合(検査キットの販売あり)、エクオールの方を摂りましょう。

また、つらい更年期症状によって生活に支障が出ている場合は、ホルモン補充療法(HRT)を行うといいでしょう。