物価が上昇する時代は、預貯金に預けているだけでは資産が将来的に目減りしてしまいます。前回に続き、今回は年金生活への影響と、物価上昇率が日本よりも高い欧米のシニアがどのように乗り切っているのか、IFAの五十嵐修平さんが解説します。
教えてくれる人は五十嵐修平(いがらし・しゅうへい)さん
株式会社バリューアドバイザーズ 代表取締役。父親の影響で大学生の時に投資を始める。投資に“無限の可能性”を感じ、証券会社に就職。「中立な立場で顧客に資産運用の提案をしたい」との思いから2013年に会社を設立。ゴールを設定する欧米式の資産運用手法を基にIFAとして活躍中。著書に『55歳からでも失敗しない投資のルール』(インプレス刊)。無料の個別相談とセミナーが好評。
※IFAとは、特定の金融機関に属さず、独立した立場でお客さまに資産運用のアドバイスを行う専門家です。
セカンドライフのために投資の勉強をしたい人は、まいにちレッスンをチェック!投資の知識がゼロでもわかる「セカンドライフのお金への備え方」を、IFA五十嵐修平さんがクイズ形式で解説します。
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インフレは年金生活に深刻な影響をもたらす
前回は、物価が上昇しているのに銀行預金が低金利であることによって、預貯金があれば安心だった時代が終わったということをお伝えしました。暗い話ばかりで恐縮ですが、年金を受け取るセカンドライフもインフレは深刻な影響があります。
日本では2004(平成16年)から年金額を調整する仕組みとして、「マクロ経済スライド」という方法を採用しています。
これは賃金や物価の改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。将来の現役世代の負担が過重なものとならないように、最終的な負担(保険料)の水準を定めて、その中で保険料等の収入と年金給付等の支出のバランスが保たれるよう、年金の給付水準を調整する仕組みです。
少し難しいことを書いてしまったかもしれませんが、要はインフレ率ほど、もらえる年金額は増えないということです。つまり収入はそんなに変わらないのに、支出は増えることになり、セカンドライフを過ごすのにマイナスな要因なのです。
年金額の上昇がインフレの上昇に追い付かず、実質的に年金の資産価値が減っていくことも、今後、日々の生活を送る上で課題となってくるでしょう。
一方で世界に目を向けるとインフレは当たり前で、欧米では平均年2~3%程度のインフレになっています。