物価上昇時代は●●をしておくべき! 知らないと損するお金の新常識を専門家が解説

欧米のシニア世代は資産運用でインフレに対応している

それでは欧米のシニア世代はどうやってインフレを乗り切っているのでしょうか。 その対策の一つが資産運用です。

読者のみなさんは資産運用というと、どんなイメージがありますでしょうか?

日本人の資産運用に対する印象は「損しそうで怖い」や「お金に余裕のある人がやること」などのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

ただ、若い世代は「つみたてNISA」の普及で資産運用を行う人が増えています。実際に20~40代が中心となって保有している「つみたてNISA」の口座数は、23年3月末時点で約540万口座に到達しました。

一方、シニア層が資産運用に対して、高いハードルを感じる要因の一つに歴史的な背景があると考えられます。

前回お伝えした通り、以前は銀行金利が高かったので、預貯金を行うのが一般的でした。また、株式市場は1989年年末に3万8915円の高値を付けた後にバブル崩壊する過程で大きく下がり、株式投資をしていた人も大きく損をしてしまいました。

そして、家訓として株式には手を出すなと親から言われるようになり、投資とは怖いものという印象がついてしまったのでしょう。投資に対しての知識、情報不足も要因として挙げられます。

欧米諸国では投資教育により、個人がリスクとリターンについて正しく理解した上で投資を選択する文化が根付いていると言われている一方、日本ではようやく2022年4月に高校での金融教育がスタートしました。
これまで長きにわたり投資教育が疎かにされ、多くの人々が投資情報に触れないまま過ごしてきたと言えます。

そうした文化や考え方の違いは家計の金融資産全体に占める株式等の割合にも顕著に表れています。

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20年間で家計金融資産に差がついた

2021年3月末時点で米国は37.8%、ユーロ圏は18.2%、株式等を保有している状況に対し、日本はわずか10%に留まっています。

そうした割合で保有した結果、日本の家計金融資産は2001年から2021年末の20年間で、1.4倍と小幅な上昇に留まりました。一方米国は3.4倍、ユーロ圏は2.2倍に大幅増加しました。

証券取引所公表データよりバリューアドバイザーズ作成

また、米国や欧州の代表的な株価指数はリーマンショックなどの大きな下落を伴いながらも、長期では大きく上昇しています。日本と、米国・ユーロ圏の家計金融資産の差は、保有する株式等の割合の差と過去の株式相場によって、現れていると考えられます。