疲れているのに眠れない……熟睡できない人がやっているNG行動とは?

疲れているのに、なかなか寝付けない……。焦ったり寝酒をしたりするのは逆効果に。眠れない原因と対処法を医師監修のもと詳しく解説します。深呼吸でリラックスする「4・7・8呼吸法」は、いつでもどこでもできるのでおすすめです!

疲れているのに眠れないのはなぜ?

疲れているときは、その疲労感からぐっすり眠れそうな気がするものですよね。

しかし「ものすごく疲れているはずなのに眠れない」「布団に入ると目が冴えてしまう」など、疲れていても眠れないことがあります。

一体なぜ、疲れているのに眠れないのでしょうか?原因について解説していきます。

ストレス・精神疲労

疲れているのに眠れないのは、脳が興奮しているためです。

人間の体の機能をコントロールして整えている自律神経には、心身の活動性を生み出す「交感神経」と、心身を休息させる「副交感神経」があります。普段は、これらが正常なバランスを取ることで、健康な生活が保たれています。

しかし、交感神経が優位になると脳が興奮し、寝付けなくなることに。以下のようなストレスや精神疲労があると、脳は覚醒してしまいます。

目を閉じても考え事をしてしまう
過去の失敗を後悔している
他人から言われた言葉に落ち込んでいる
明日のことを考えて緊張している、焦っている
将来のことを考えると漠然とした不安がある

悪いことだけではなく、楽しみなイベントを控えてワクワクしているときも脳が興奮してしまい、眠れなくなります。子どもが遠足の前日に眠れなくなるのも、交感神経が優位になることが原因です。

眠れないことが続くと、それがさらなるストレスや不安を生むこともあります。

病気や症状の影響によるもの

体に症状が出ているせいで、眠りの質が低下している可能性も考えられます。例えば、以下のような症状です。

息苦しさ
頻尿
咳や発作(咳喘息、気管支喘息、気管支炎など)
痛み(関節リウマチ、胃炎、糖尿病、腰痛など)
かゆみ(乾燥、じんましん、アレルギー疾患)
脳梗塞、脳出血などの後遺症
睡眠時無呼吸症候群
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群) など

なんらかの病気が原因となっている場合、それを治療することで眠りの質が改善されることも多くあります。

生活環境や体内時計の乱れ

寝る前にカフェインを含む食べ物や飲み物を摂取したり、タバコを吸うと、交感神経が刺激されてしまい、睡眠の質の低下につながります。

また、昼夜交代制の勤務シフトや飛行機の時差なども体内時計を乱すため、眠れない原因になります。この他にも、夜更しする日が多い、平日と休日で起きる時間・就寝時間が違うことなども睡眠の質に影響します。

運動不足

精神的に疲れている場合でも、体が疲れていないと、眠れないことがあります。

特に、デスクワークや車移動で体を動かす時間が少なくなりがちな人は、意識して体を動かすようにするといいでしょう。

激しい運動をする必要はなく、手軽にリフレッシュできる散歩やウォーキングなどでもOKです。

寝る前の飲酒・喫煙

「眠れないからお酒を飲む」という人もいるかもしれませんが、アルコールは結果的に眠りの質を下げてしまいます。

アルコールは脳の中枢神経を抑制する作用があるため、一時的に眠くなることもあります。しかし、体の中でアルコールが分解される際に発生するアセトアルデヒドには覚醒作用があるため、眠りが浅くなり、途中で起きてしまう原因になるのです。

また、寝る前の喫煙もNG。ニコチンに含まれる覚醒作用が寝付きを悪くし、眠りを浅くしてしまいます。

寝室の環境

質の高い睡眠のためには、寝室の環境も大切です。

枕や敷布団などの寝具、パジャマ、寝室の温度や湿度が合わないと、寝付きが悪くなったり、夜中に目が覚めてしまったりします。

ブルーライトの影響

現代人が疲れているのに眠れない原因として挙げられるのが、ブルーライトの影響です。

ブルーライトとは、光の中の青色の光線のこと。スマートフォンやパソコンなどから発せられる光というイメージがあるかもしれませんが、ブルーライトは太陽光にも含まれています。

ブルーライトは体内時計を整える重要な光であり、昼間にブルーライトを浴びると、活動が高まります。しかし、夜にブルーライトを浴び過ぎると脳が「今は昼だ」と錯覚してしまい、睡眠を促すホルモンであるメラトニンが抑制されてしまうのです。

「昼光色」や「昼白色」といった電球や蛍光灯にはブルーライトが含まれているため、寝付きが悪い人は、ブルーライトを含まない電球に交換するといいでしょう。

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疲れてるのに眠れないときの対処法

ここからは、疲れてるのに眠れないときの対処法をご紹介します。

ゆっくり深呼吸する

疲れてるのに眠れないときの対処法として簡単にできるものに、深呼吸があります。人は、落ち着いているときは自然に呼吸が深くゆっくりになり、緊張しているときには、浅く速い呼吸になります。

不安で落ち着かない、そわそわして眠れない人は、ゆっくり深呼吸してみましょう。おすすめなのが、以下の「4・7・8呼吸法」です。

息を全て吐き切る
鼻から4秒間、息を吸い込む
7秒間、息を止める
8秒かけて口からゆっくり息を吐き出す

眠れないときは、これを何度か繰り返してみましょう。

息を吐く時間を吸う時間の約2倍にすることがポイントで、細かな秒数にはこだわらなくてOK。自分が一番落ち着く時間配分で、ぜひやってみてください。

朝起きたら太陽の光を浴びる

太陽の光は体が覚醒するスイッチとして知られていますが、睡眠にも関わっています。

体は光を浴びてから13時間後に睡眠のスイッチが入るようになっているため、寝付けない日が続いているときは、朝しっかり太陽の光を浴びるようにしましょう。

夜に適度な運動をする

普段あまり運動せず、運動不足になっている人は、夕食後〜お風呂に入るまでの時間帯などに適度な運動をするのもおすすめです。激し過ぎる運動は逆に寝付きを悪くしてしまうため、ウォーキングや散歩、ストレッチなどの軽い運動を行いましょう。

人は、体温が下がるときに自然と眠くなります。運動して上がった体温はその後下がっていくため、就寝時間に丁度眠気がくるのです。

温かい飲み物を飲む

カフェインレスのハーブティーなど、温かい飲み物を飲むのもおすすめです。カモミールには安眠効果、レモンバームやローズには鎮静作用があるといわれています。

なお、眠れないときはホットミルクがいいといわれていますが、牛乳には脂質や糖質が含まれており、消化機能が目覚めてしまうことがあるため、避けた方がいいでしょう。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる

入浴も運動のように、一時的に体温が上がり、その後で体温が下がることで眠気を起こします。

熱過ぎる温度のお湯は交感神経を優位にさせ、体を覚醒させてしまうため、必ずぬるめの温度にすることが大切です。寝る1〜2時間前に40℃以下のぬるめのお風呂に10分程度浸かって、リラックスしてみましょう。

パジャマに着替える

普段、Tシャツやスウェットなどの部屋着で寝ている人は、寝るときにパジャマに着替えるのもおすすめです。

ワコールとオムロンヘルスケアが行った「パジャマと眠りに関する共同実験」では、パジャマに着替えたときの方が、部屋着のまま寝たときよりも寝るまでにかかる時間が9分短いという結果が出ています。

また、寝る前の決まった行動は心身リラックスさせ、眠る準備を整える効果があり、これを「寝る前に毎晩行う行動「スリープセレモニー(入眠儀式)」といいます。

「パジャマに着替える=これから寝る」と脳に認識させることで、寝付きやすくなる効果が期待できるでしょう。

パジャマを選ぶときは肌ざわりや吸水性、ゴムの締め付けなどの着心地も考えて選ぶと、快適な眠りにつながります。

寝る前にスマホやテレビを見ない

液晶画面から出るブルーライトは寝付きを悪くし、睡眠の質を低下させる原因になります。

少なくとも就寝時間の30分前までにはスマホやテレビをやめて、デジタルデトックス(スマホなどのデジタルデバイスとの距離を置くことでストレスを軽減すること)しましょう。

ツボを押す

出典:髪の悩みを解決! なでるだけ頭皮マッサージ(2)

眠れないときには、心をリラックスさせるツボ「百会(ひゃくえ)」を押してみましょう。

百会は頭のてっぺんにあるツボで、体の中央線と両耳を結ぶ線が交わる部分にあります。両手の4本の指先を使って、息を吐きながら5秒ほど、気持ちいいと感じる程度の強さで押しましょう。

眠れないときは一度ベッドから出る

どうしても眠れないときは、ベッドや寝室から一度出てしまうのも一つの方法です。

寝付けないときはなんとかして眠ろうと無理やり目を閉じて眠ろうとしてしまいがちですが、ストレスや不安感につながってしまうことも。

一旦ベッドを出て、本を読んだり音楽を聴くなど、好きなことをしているとリラックスできますよ。眠れずに朝を迎えてしまった場合は、可能な限り昼寝は我慢して、夜に眠るようにしましょう。

市販のサプリ・睡眠改善薬・漢方薬を使う

疲れているのに眠れないというときは、市販されているサプリメントや睡眠改善薬、漢方薬を使うのも一つの方法です。

ただし、これらに頼り過ぎるのはNG。規則正しい生活やバランスのいい食生活を心掛け、眠りの質を高める工夫をしましょう。また、サプリや市販薬を活用しても改善が見られない場合は、早めに医師に相談しましょう。