成功した途端に贅沢な生活を送る人がいますが、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットは世界有数の資産家になった後も質素な暮らしぶりを変えることはありませんでした。本記事では、そんな桑原晃弥氏の著書『ウォーレンバフェットに学ぶ ゆっくりと着実にお金持ちになる56のルール』(ビジネス教育出版社)より一部抜粋・再編集して、バフェットが成功し続けている秘訣について解説します。
良き習慣を早くに身につけ、成功してからも守り続ける
ウォーレン・バフェットの特徴の一つは、自分が決めたルールや習慣を安易に変えることなく、どれほどの成功者となってもきちんと守り抜くところにあります。
たとえば、お金のない若い頃には質素倹約が当たり前でも、成功してお金を手にするようになると、当時のことを忘れ、贅沢な生活を送る人がいます。「お金持ちの生活」を思い切り楽しむということでしょう。
悪いというわけではありませんが、バフェットは世界有数のお金持ちになっても若い頃の生活習慣をあまり変えることはありませんでした。
恩師であるベンジャミン・グレアムが経営していたグレアム・ニューマン社を辞め、オマハで投資パートナーシップを始めた頃のバフェットは手元に17万4,000ドルもの資金を蓄えていましたが、オマハで借りた家は月175ドル、生活費は年Ⅰ万2,000ドルでした。
26歳のバフェットの計算によると、引退して手元の資金を運用するだけでも35歳で念願のミリオネアになれるはずでしたが、それだけの資産を持ちながらもバフェットが借りた家はかろうじて住める程度の広さしかなく、その狭い書斎を事務所としてたった一本の電話を引いて投資パートナーシップを始めています。
バフェットは一つ一つの出費を黄色い罫線に手書きで記入することで出費を抑えます。運営する投資パートナーシップの総資産は膨れ上がり、1966年には4,400万ドルに達し、バフェットは大金持ちになりますが、投資家への手紙にはこう書きます。
「スージーと私は映画を観に行くお金を節約して684万9,936ドル投資しています」
質素な生活はその後も続き、2006年に資産の大半を慈善事業に寄付すると発表した際には、「私は何も犠牲にしていません。犠牲とは、外出を控えたり、多大な時間を割いたり、ディズニーランド旅行をやめたりして、教会に寄付することです。私の生活はちっとも変わっていません」と記入します。
バフェットによると、人は習慣で行動するだけに、良き習慣はできるだけ早い時期に身につけた方がいい、となります。時に「例外」を許したくなりますが、小さな例外を認めると、大きなことも守らなくなります。反対に「使うお金は入るお金より少なく」といった良き習慣は、長く続ければ、当たり前のものになっていきます。
バフェットにとって質素倹約はごく当たり前のものであり、莫大な資産を築き上げたとしても、その生活ぶりが変わることはありませんでした。
バフェットのルール
良き習慣を早くに身につけ、成功してからも守り続けよう。さらなる成功につながる。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト