新NISAの成長投資枠をどう使うか、悩んでいる人も多いでしょう。投資家なら規模が10倍、20倍と大きくなっていく企業に投資したいものですが、その可能性がより高い「成長株」には不安定さもあるといいます。本記事では、資産10億円を達成した個人投資家DAIBOUCHOU氏による著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集して、成長株投資について解説します。
成長企業なら10年、20年かけて株価10倍以上もありうる
新NISAの成長投資枠を使って株式投資をする場合、その対象として成長株を選ぶのは、ある意味で理想ではあります。何しろ成長投資枠を使えば、保有した株式の値上がり益を全額、無期限で課税対象外にできるのですから。
資産バリュー株に投資して1年でテンバガーを狙うのは、かなり難しいと思います。でも、成長企業なら、10年、20年という時間をかけることによって、企業規模が10倍、20倍になる可能性は十分にあります。それによって、株価が10倍以上になる可能性も、少なくとも資産バリュー株に比べればあると考えられます。
1,200万円を投資して、それが1億2,000万円になれば、これほど美味しい話はありません。ただ、実際に目論見通り、10年くらいの時間をかけて株価10倍を実現できる銘柄というのは、恐らく10銘柄に分散投資したとしても、そのうちの半分にも満たないのではないかと思うのです。
これは新規上場した会社の株式の、上場した初日からの値動きを見ていくと、よくわかります。上場したての時は、その会社に対する期待感もあって、株価は大きく値上がりしていくのですが、しばらくすると期待感が剥落して、株価も急降下していくというケースが、非常にたくさんあります。
特に新規上場銘柄などというのは、ビジネスのフィールドも未成熟だったりしますし、その結果、大きく儲かることもあれば、大きく損をすることもあるなど、経営のボラティリティも高いのが普通です。
そのため時折、前期に比べて売上と利益が急増したりします。前四半期では、前年同期比で20%の売上増だったのが、今四半期ではいきなり50%の売上増になったりするのが、普通に起こるのです。
ところが、投資家はそうは受け止めません。たまたま何かの拍子で大口の契約が決まり、前年同期比で50%もの売上増になったとしても、それが今後も続いて、いよいよ自分の投資している会社が、本格的な成長軌道に乗ってくるなどと、都合の良い解釈をしてしまいがちです。
でも、残念ながら次の四半期では、前年同期比で5%くらいしか売上が伸びないといったことが、平気で起こります。そうなった時、株価がどうなるのかというと、期待感で大きく上がった分、今度は急落して、上昇する前の水準くらいまで下がってしまいます。
「結局、あの値上がりは何だったんだ?」ということになってしまうのです。決して会社が怠けているわけではなく、ちゃんと成長しようと努力はしているものの、それでもこのようなことが起こってしまうくらい、厳しい世界ではあるのです。
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厳しい世界だが爆発的上昇もあるのが成長株
たとえば、AI inside(4488)やイーディーピー(7794)、プレミアアンチエイジング(4934)などは、好調時は成長株投資家の人気銘柄でした。
手書き文字をAI技術によってデジタル文字コード変換するサービスを企業向けに展開するAI insideは、2019年12月にマザーズ(現・グロース)に上場すると、株価が急上昇しました。ところが、その1年後、NTT西日本との契約が更新できず、売上が約4割消失しました。もちろん、株価は急落して浮上できずにいます。
こういう世界であるという前提のもと、成長株投資のメリットを申し上げると、前述したように、値上がり益が期待できるという点に尽きます。PBRが0.5倍の資産バリュー株に投資して、PBRが1倍になるところまで持ち続けたとしても、株価は2倍になる程度ですし、配当利回りが6%から3%になったとしても、やはり株価は2倍程度にしかなりません。
もちろん、株価が倍になるのも嬉しいのですが、成長株投資の爆発的な上昇に比べれば微々たるものです。利益が10倍増になって株価も10倍増になるだけでなく、PER評価が2倍になって、最終的に株価は20倍になるなどということが、起こり得るのです。
利益10倍増なんて絵空事だ、と思いますか? いえいえ、時間をある程度かければ、利益が10倍増になるのは、絶対に不可能な話ではないのです。
ただし、前述したように期待感先行で株価が急上昇し、期待外れで急落などということもありますから、銘柄選びは慎重に行う必要があります。
専業投資家インフルエンサー
DAIBOUCHOU
※本記事は『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円:10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。