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●南京町を中心に、伝統の味を受け継ぐ中華料理店が数多くある神戸。開店前から行列ができる人気店『杏杏』の「中華粥」を食べてきた。
1868年(明治元年)の開港以来、東洋や西洋の文化をいち早く取り入れてきた神戸。横浜・長崎とともに日本三大中華街の一つに数えられている「南京町」もあり、市内には本格的な中華料理が楽しめるお店が点在しています。
1997年創業の『杏杏(しんしん)』は、テレビや雑誌、ガイドブックで何度も取り上げられている人気店。食べログ百名店にも過去3度選ばれています。平日のオープン15分前に訪れたところ、すでに4人の先客が。土日は大行列ができることもあるため、予約するか早めに訪れるのがおすすめです。
JR元町駅から徒歩5分
『杏杏』では華僑2世の呉杏芳(ウーシンファン)さんとそのご家族が一つひとつ丁寧に手作りする、中国広東省の伝統的な家庭料理が堪能できます。広東料理は焼売やワンタン、酢豚など、日本でもなじみのあるものが多く、素材の旨味を活かした薄味が特徴。
本格的な広東料理が勢ぞろい
メニューを見てみると、エビのライスペーパー、牛バラ炒め、水餃子など魅力的なメニューがずらりと並んでいます。今回は中華粥と焼きそば、果物がついた一番人気の「中華粥セット」を頼みました。
青花柄のポットで楽しむ香り高いジャスミンティー
注文するとポットに入ったジャスミンティーが運ばれてきます。お水や緑茶の代わりに中国茶が出てくるのがなんだか嬉しい。雨が降る肌寒い日だったので、ほっこりと温まりながら料理が出てくるのを待ちました。
老鶏の旨味が凝縮された一番人気の「中華粥セット」をいただく
「中華粥セット」1320円。写真は焼きそば [食楽web]
まず出てきたのは、麺が見えないほどたっぷりの野菜あんがかかった焼きそば。具はねぎとキクラゲ、もやし、焼豚が入っています。とろりとした上品なあんが、少し固めの細麺とよく絡んでいて絶品。ねぎともやしのシャキシャキ食感、キクラゲのコリコリ、そしてしっとりプルプルな焼豚と、いろいろな食感と味が楽しめます。
濃厚な旨味が出る老鶏を使用
焼きそばを食べ終えたタイミングで、主役の中華粥とオレンジが登場。白くとろりとしたお粥の上にごま油が光り、中には鶏肉と千切りの生姜が入っています。トッピングには白髪ねぎとパクチー、茶色いスナックのようなもの。聞いてみると「ワンタンの皮を揚げたものなんです」とのこと。
中華粥は老鶏(ろうけい)からとったスープで3時間じっくり炊き上げ、お米が潰れてポタージュのようななめらかな口当たり。味付けは塩だけのように感じられますが、シンプルだからこそお米の甘みと鶏の旨味が際立っていて、ほっとする優しい味わい。香ばしいごま油と生姜の風味も良いアクセントになっています。
五臓六腑に染み渡るおいしさ
揚げワンタンはパリパリサクサク、時間が経つとふやけてやわらかくなり、また違った味わいに。ねぎとパクチーを混ぜながら食べると爽やかさが加わり、飽きのこないおいしさです。
お粥も焼きそばも繊細な味付けで「中華料理=脂っこくて濃い味」というイメージを見事に覆されました。
本場の味を守り続ける神戸の名店
カウンターに並ぶ惣菜
帰り際に目を奪われたのが、カウンターに置いてあるこんがりとした焼豚。今度はピータン入りの中華粥と焼豚を食べよう、いやエビのライスペーパーも気になる……。と次回のメニューを考えながら店を後にしました。
ちなみに、近くの姉妹店『杏杏 諏訪山工場』は朝9時から営業しているので、中華粥で一日をスタートするのもおすすめ。神戸を訪れた際は、本場の広東家庭料理を味わいに足を運んでみてください。
(撮影・文◎安達春香)
●SHOP INFO
杏杏
住:兵庫県神戸市中央区下山手通4-13-14
TEL:078-322-3339
営:11:30~13:30、17:00~21:00
休:日曜・第3月曜
http://www.xingxing.jp/