人によって結婚に対する価値観はさまざまですが、人生における大きなイベントであることは間違いありません。しかし、たとえ結婚から間もない新婚だったとしても、さまざまな理由から「これ以上続けられない」と感じてしまうことは珍しくありません。本記事では、新婚での離婚理由と離婚を考えた際にやっておくべきことについて、Authense法律事務所の白谷英恵弁護士が解説します。
新婚だけど離婚したい…よくある6つの理由
新婚だけど離婚したいと考えてしまうケースは珍しいことではありません。まずは離婚を望んでしまう6つの理由を例に、それぞれ解説していきます。
1.金銭感覚が違った
結婚して2人で生活をともにするようになるまで、1人暮らしだったり実家暮らしだったり、それぞれの環境で生きてきたはずです。そのため、結婚してはじめて知ることも多くあるでしょう。金銭感覚はその最たるものの1つです。
これまで自由に自分のために使ってきたお金でも、2人で暮らすようになればいまの生活や将来のために考えないといけません。そのため、シビアになってしまうのは当然でしょう。お互いに真剣に考えられれば苦労はしませんが、どちらかがいまを楽しむことを最優先し、出費がかさんでしまうのは大問題です。この人とは暮らしていけないと感じてしまうのも無理はありません。
2.家事の分担ができない
夫婦というのは、ほとんどの場合、血の繋がらない2人が同じ屋根の下で共同生活をします。お互いが気持ちよく生活していくためには、どちらかに負担の比重が偏らないよう、家事はしっかりと分担して然るべきです。
昨今では夫婦で共働きというパターンも珍しくなく、夫は仕事、妻は家事、という構図は現在では成立しません。一方的に押し付けられるようなことが続けば、夫婦関係の崩壊が近づいてしまうでしょう。
3.食の好みが違った
結婚前の段階でもデートなどで一緒に食事する機会は少なくないはずなので、互いの好き嫌いはなんとなく把握できているかもしれません。
しかし、実際に生活をともにし、これまで以上に食事の機会が増えると、知らなかった食の好みに驚くこともあるでしょう。食の好みは、成人になってから変えることは難しく、ちょっとした一言でイライラしてしまうかもしれません。このようなストレスが日々積もっていけば、離婚を検討する理由の1つになってしまいます。
4.清潔さの度合いが違った
寝食をともにするようになった途端に、相手のだらしなさを知ってしまい幻滅してしまうこともありえます。たとえばお風呂の入るタイミングや歯磨き、日ごろの服の管理など、これまで自分のなかで常識だと思っていたために、このような点で「ありえない」と感じてしまう出来事が重なると、愕然としてしまうでしょう。一度そのように感じると、どこまでもストレスになってしまう可能性もあります。
5.日常のすれ違いが多くなってしまう
仕事の関係で生活の流れが合わず日常のなかですれ違ってしまうのも、考えうるパターンの1つです。このようなすれ違いは夫婦間でのコミュニケーション不足の原因になり、せっかく結婚したにも関わらず、より寂しい思いをしてしまうかもしれません。改善点が見つけられなければ、たとえ新婚でも離婚を考えてしまうケースがあります。
6.子どもへの愛がない
子どもの誕生はかけがえのない瞬間ですが、子どもは夫婦関係やいままでの生活を大きく変えます。結婚前からいまにいたるまでほとんど喧嘩してこなかったとしても、授かった子どもへの対応を見て、離婚を考えるケースもありうるでしょう。
母親は、お産を通して子どもへの愛情や母としての自覚が芽生えやすいといわれますが、父親の中には、子どもへの愛情や責任感をなかなか実感できない人もいます。父親の無自覚な行動や言動から夫婦喧嘩に発展し、お互いの愛情が冷めてしまったり、逆に母親側がいつまでも自覚を持てず、子どもの世話よりも自分を優先してしまい、父親側が不信感を募らせるといったケースも考えられます。
離婚してから1人で子どもを育てていくことは大変かもしれませんが、子どもへの愛情の違いはストレスの原因となり、結果的に離婚にいたってしまうケースもあるのです。
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本気で離婚したいなら…相手を説得するためのポイント、3つ
自分のなかで離婚すると決めたとき、確実に説得できるように準備しておきましょう。必要な3つのことをまとめました。
1.相手を納得させるために別れたい理由をまとめる
一方的に離婚をつきつけるのは難しいため、話し合いのなかで相手を納得させられる材料を用意しましょう。ここで気をつけたいのが、まずは自分の気持ちにしっかりと折り合いをつけるということです。「もう少しだけ結婚生活続けてみよう……。いや、やっぱりもう我慢できない」など、決断までの思考が往復している状態では離婚後に後悔する可能性がありです。
決して焦らず、時間をかけて、
「どうして離婚したいのか」
「本当に決断してしまっていいのか」
「後悔しないか」
と、自分に問うてみましょう。ここまで言葉にできれば、冷静に考えられているはずなので、相手へ自分の気持ちをしっかりと伝えられるでしょう。決して感情的にならず、冷静に考えることが重要です。
2.相手の意見を想定し完璧に反論できるようにする
自分の気持ちを整理して相手に伝えても、向こうからしてみれば突然のことで驚いてしまうでしょう。場合によっては相手が感情的になることも考えられます。それでも自らの意見をすべてしっかりと伝えたうえで、相手が冷静に考えられる状態に持っていくことが大切です。
相手は今後のことについて反論してくると思われるので、そのための回答を用意しておきます。離婚後1人で生活できないだろう、子どものことはどうするのか、これからは改めて変わっていけるよう努力するなど、思いとどまらせることをいってくるでしょうが、
「仕事の目処もついているしなにも心配はいらない」
「責任をもって育てるので自分が親権を持つ」
「何度もそう言ってきたが、結局なにも変わらなかった」
など、冷静に返答しましょう。
3.離婚してから1人で生活していくために準備をする
相手を説得させる材料は用意できても、離婚後の生活が苦しくなってしまうようでは後悔してしまいます。離婚後も1人で安定して暮らしていけるように準備をしましょう。
まず用意しなければならないのが、今後の住居と仕事です。新たにアパートやマンションなどを借りて1人暮らしをするか、実家に帰るか、またはそのほかの選択肢について、よく検討しておきましょう。当然、働き先も大切な課題なので、自分の経歴や今後やってみたいことを踏まえて考えておきましょう。
また、離婚理由によっては、慰謝料や財産分与も視野に入るかもしれません。結婚してから間もない離婚では難しい場合もありますが、まずは相談できる場所に聞いてみることをおすすめします。
子どもがいる場合は親権や養育費の問題も重要です。養育費は裁判所によって状況に合わせた相場価格が定められています。生活していくうえで欠かせないため、確実に支払ってくれるように交渉しましょう。