“税金逃れ”のハードルは高まっている

日本国内の財産を相続する場合、すべてに日本の相続税が課税されます。たとえ被相続人か相続人が海外に住んでいても、相続財産が日本にあれば日本の税制が適用され、納税しなければなりません。

海外に財産がある場合、被相続人・相続人が10年以上海外に住んでいれば、海外資産に日本の税制は適用されません。しかし、いずれかの移住が10年未満の場合には、海外資産にも課税されます。

以前は海外へ移住して5年以上で相続税を回避できていましたが、税制改正により10年に延長されました。また、株式などを1億以上保有していた場合、その財産の含み益に対して課税される「国外転出時課税制度」が設けられています。相続税逃れのハードルは高くなっているといえるでしょう。

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海外移住は慎重に検討を

日本の高額な相続税から逃れたい思いで海外移住を検討する人は少なくはありません。しかし、さまざまな理由から帰国を決断するケースが多いのもまた事実です。

若いうちは海外生活もよいかもしれませんが、年をとると病気などのリスクも高まります。

また、税法改正により、今後も海外移住による相続税対策が強化される可能性もあります。相続税だけでなく、長期的に生活できるかどうかなど、さまざまな側面から検討するとよいでしょう。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP