終活コーディネーター・吉原友美さんの連載コラム第17回。単なる整理整頓に留まらない「終活お片付け」の驚くべき効果について、ご紹介します。
吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール
東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。
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1年の締めくくりにこそ「終活お片付け」
皆様
日々忙しい中、いかがお過ごしでしょうか。
ふと立ち止まって、自分の周りの出来事や人に感謝の気持ちを抱くことが、心に温かさをもたらすことがありますね。そんな小さな気づきが、日々の暮らしをより豊かにしてくれるかもしれません。
終活という言葉を耳にすることが増えている中で、今一度、ご自身のこれまでの歩みを振り返り、未来への備えを考えてみるにも良い機会かもしれません。家族や大切な方々と一緒に過ごす時間が、よりいっそう意味深いものになることを願っております。
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終活を進める中で、多くの方が直面するのが「お片付け」の問題です。長年にわたって蓄積された物品や思い出の品々、さらに不要な書類や衣類など、自宅には予想以上に多くの「モノ」が溜まっています。
終活世代の方々にとって、このお片付けは単なる整理整頓ではなく、自分自身の過去を整理し、未来を見据えるための大切なステップです。
今回は、この「終活お片付け」について、驚きの効果も含めて詳しくお話しします。
1. 終活お片付けの意義とは?
終活お片付けは、自分の人生を振り返りながら、不要なものを処分し、必要なものを整えるプロセスです。これにより、心の整理が進み、将来に向けた新たな一歩を踏み出す準備が整います。
特に、物に対する執着を手放すことで、心の中に新たなスペースが生まれ、過去の思い出にとらわれることなく、前向きな気持ちで未来を迎えることができるようになります。
また、驚くべきことに、この終活お片付けを進めることで、「家族に対する負担が大幅に軽減される」ことも見逃せません。
例えば、親が亡くなった後に遺族が遺品整理を行う場合、その負担は非常に大きなものとなります。しかし、あらかじめ終活お片付けを行い、自分の意志で不要なものを整理しておけば、遺族が悲しみの中で困難な作業を強いられることを防げます。
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2. 片付けを進める、3×3のステップ
終活お片付けには、いくつかのステップがありますが、最初に取り組むべきは「自分にとって本当に必要なもの」を見極めることです。このプロセスでは、以下の3つの質問を自分に投げかけてみましょう。
この物は、私にとってどれだけ価値があるのか?
この物がなくても、私は幸せでいられるか?
この物は、誰かに喜んでもらえるだろうか?
こうした問いかけを繰り返すことで、不要なものを手放し、本当に大切なものだけを手元に残すことができます。
次に、整理したものを「保管するもの」「譲るもの」「捨てるもの」の3つに分類します。保管するものは、今後も自分が必要とするものに限定し、譲るものは家族や友人、またはチャリティ団体などに寄付することを考えます。捨てるものは、適切に処分しましょう。
3. 片付けがもたらす、健康効果
意外に思われるかもしれませんが、終活お片付けは精神的な効果だけでなく、「身体的な健康にも良い影響を与える」ことがあるのです。
例えば、お片付けを進めることで、家の中の通路や部屋が広くなり、転倒リスクが減少します。特に高齢者にとって、転倒は重大な健康リスクとなるため、この効果は見逃せません。
また、お片付けは体を動かす機会を増やし、運動不足の解消にもつながります。物を運んだり、掃除をしたりすることで、自然と体が鍛えられ、筋力の維持にも役立つのです。
4. 驚愕!「こんなものがまだ残っていた…」
終活お片付けを進めていると、思いもよらない「お宝」が発見されることがあります。
例えば、昔購入したブランド物のバッグや時計が見つかり、それらが思いのほか高値で売れることもあります。また、古い写真や手紙を見つけることで、忘れていた思い出が蘇り、それが家族との絆を深めるきっかけになることもあるのです。
さらに、驚愕の事実として、家の中には数百万円相当の隠れた価値が眠っていることも少なくありません。
例えば、古いコインや記念切手、アンティーク家具など、価値のあるものが自分でも気付かないまま保管されていることがあるのです。
終活お片付けを通じて、こうした「お宝」を発見することは、大きな驚きとともに、人生の後半をより豊かに過ごすための資金となる可能性もあります。
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5. 片付けで得られる、心の平穏
最後に、終活お片付けを終えた後に訪れる「心の平穏」について触れておきたいと思います。
多くの方が、片付けを終えた後に感じるのは、まるで「肩の荷が下りたかのような解放感」です。不要なものを手放すことで、心の中に空間が生まれ、新たな挑戦や趣味に取り組む意欲が湧いてくることがあります。
また、自分の最期を迎える準備が整ったことで、将来への不安が軽減され、家族や友人との時間をより大切に過ごせるようになるのです。
このように、終活お片付けは単なる物理的な整理だけでなく、心の整理、そして人生の整理でもあるのです。
「これからの人生」がきっと豊かに
終活お片付けは、自分自身の人生を振り返り、新たなステージに進むための重要なプロセスです。驚きの発見や健康効果を含め、このプロセスを通じて得られる心の平穏は、何物にも代えがたい価値があります。
これからの人生をより豊かに、そして安心して迎えるために、ぜひ「終活お片付け」に取り組んでみてください。