贈与税の申告漏れが発覚した場合のペナルティ
先述した通り、税金の無申告は、高い確率で税務署が発見します。贈与税の申告や納税を適切に行わなかった場合、以下のペナルティが与えられる可能性があるので、注意しましょう。
延滞税
無申告加算税
過少申告加算税
重加算税
それぞれ詳しく説明していきます。
延滞税
延滞税とは、期限までに税金が納付されなかった場合に、法定期限の翌日から実際に税金を納付する日までの日数に応じて、加算される税金のことをいいます。
延滞税が発生する具体的なケースは以下のとおりです。
期限までに税金を納付していないとき
期限後申告、修正申告をしたとき
税務調査により、追加で税金の支払いが必要になったとき
延滞税は、納期限の翌日から実際に納付した日までの日数に応じて課税されますが、直近の延滞税の税率として、令和5年1月1日~令和6年12月31日では以下のように定められています。
納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後:年8.7%
無申告加算税
無申告加算税は、本来の確定申告の期間である2月16日から3月15日の間に申告や納税を行わなかった場合に課される加算税です。
無申告加算税の税率は、納付しなければならない税額によって異なります。本来の納税額が50万円までの場合は15%、300万円までは20%、300万円を超える場合は30%です。
ただし、税務調査前に自ら申告した場合は期限後申告として扱われ、無申告加算税は5%となります。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、確定申告を期限内に申告して納税したものの、申告納税額が本来納めるべき税額よりも過少であった場合に課される加算税です。
過少申告加算税の場合は、新たに納税することになった金額の10%に相当する額が加算され、期間内に申告した納税額または50万円のいずれか多い金額を超えている場合は、超過分に対し15%の過少申告加算税が課されます。
なお、自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課税されません。
重加算税
重加算税は、意図的に隠ぺいや仮装などを行った場合に課される加算税で、加算税のなかでも最も税率が高く、重いペナルティです。
重加算税の税率は相続税の申告書を提出しているか無申告かによって異なり、過少申告加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%です。
故意に事実と異なる申告をしたり、申告漏れをしたりすると、税務署が悪質性があると判断し、最も重いペナルティが科される恐れがあるため注意しましょう。
刑事罰の対象になることもある
贈与税を申告しなかった場合、悪質性が高ければ重加算税では済まない可能性もあります。その金額に応じて刑事罰も科される恐れがあるのです。特に、脱税行為を指摘されると、処罰が重くなり、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
偽りなく正当に申告を行っていれば、加算税や刑事罰などのペナルティは発生しないため、自身の贈与を正確に把握する、自信がない場合は税務の専門家である税理士に相談するなど、適切に申告・納税を行う必要があるのです。
松本 崇宏
税理士法人松本 代表税理士
お客様からの税務調査相談実績は累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本
税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1,000件以上。一般業種より税務調査が厳しいといわれる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。