更年期になると、急激に増えてくるのが「骨粗鬆症」。女性ホルモン・エストロゲンの減少によって、骨がスカスカになる病気です。ちょっとした転倒でも骨折しやすくなるため、定期的な検査&食事で予防や早期発見が大切! 治療に使われる漢方もご紹介します。
監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)
よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。
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女性ホルモン・エストロゲンが減るとなぜ骨粗鬆症に?
女性ホルモンのエストロゲンは、骨を強く丈夫に保つのにも一役買っています。
骨は成長したらそれで完成というわけではなく、日々新陳代謝を繰り返し、生まれ変わっています。破骨細胞によって古い骨が壊され(骨吸収)、骨芽細胞という骨形成を担当する細胞が血液中のカルシウムやたんぱく質などを材料に骨を新たに作ります。
エストロゲンには、この骨形成を促す働きがあるのです。
ところが、更年期になってエストロゲンの分泌が減少すると、骨の新陳代謝のバランスが乱れて骨を作るよりも破壊するほうが進みます。その結果、骨がスカスカになってしまいます。これが「骨粗鬆症」です。
また、骨は固いだけでは逆に折れやすいため、コラーゲンを多く含むことで、しなやかさも備えています。しかし、エストロゲンの分泌が減少すると、体内のコラーゲンが減ります。それに伴い、骨のコラーゲンも減少するので、骨のしなやかさが失われるのです。
更年期以降の女性がちょっとした衝撃でも骨折してしまうのは、骨粗鬆症に加えて、コラーゲン不足で骨のしなやかさがなくなることも影響しているといわれています。
さらに、コラーゲン不足になると軟骨の弾力性も失われるため、手足の関節に痛みやこわばりなどが生じ、動きの悪さも気になるようになります。