「がんばらなくていい」には要注意。元自衛官が「仕事は攻めた方が楽に働ける」と語るワケ

 幹部自衛官として順調にキャリアを重ねていながら、激務とパワハラが重なりメンタルダウン。

「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と転職し、自分の体験をもとにXで働き方やメンタルコントロール術を発信するわび氏。

 フォロワー数が17万人を突破し、ネットメディアでもたびたび投稿が話題になる氏が手掛けた新著『人生から逃げない戦い方 メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』が発売になった。

 わび氏が失敗から学んだという“心を折らずに生き延びる”教訓は、環境の整え方や仕事術、人付き合い、回復法まで多岐に渡るもの。そんな難易度の高い世界を生き抜くワザの一部を紹介しよう。

◆「頑張らなくていい」は半分正解、半分間違い

 最近、よく耳にする「がんばらなくていい」という言葉。

 半分は正解だけど、半分は間違っていると思う。がんばらないといけないときに下手に守りに入ったら、もっとがんばらないといけないようなしんどい状況に追い込まれるのがこの世の常。

「がんばらなくていい」はがんばっているときに聞きましょう。

◆がんばらないためにも、仕事は攻めよ

 仕事の心構えのお話です。働き方の魂を注入したいと思います。

 何が言いたいかというと、仕事は攻めたほうが楽だということです。

 SNSで私のことをフォローしてくれている方は、私がいつも省エネ的な働き方をしているのをご存知だと思います。実際に、これまで話した効率的な働き方で、自分の時間を確保しているのは事実です。

 ただ、企業に属しながらここまで自由にしていられるのは、効率的な働き方だけでなく、常に「攻める」という心構えによるところも大きいと思います。

「別に仕事をがんばりたいわけではないし……」と思うかもしれません。逆です。

 がんばりたくないからといって守りに入ってしまうと、かえって自由を失い、がんばらざるを得ない状況に追い込まれます。逆説的に感じるかもしれませんが、仕事をがんばらないためには攻めの一択です。

◆攻めている側は自由に動くことができ、守っている側は攻めている側に合わせる必要がある

 ちょっと伝わりにくい内容だと思うので説明しますね。

 戦術の基礎を学んでいたとき、「攻撃」と「防御」には本質的にそれぞれ特性があると教わりました。そのとき、攻撃と防御の考え方は、生き方や働き方にも通じるなと印象に残りました。教わったことを要点だけ述べると次のとおりです。

 まず、攻撃は「自由に動ける」という特性を持ち、自分の期待する成果を得やすいと言われます。一方で、防御は「事前の準備などで劣っているところをカバーする」という特性があるものの、受け身になりやすく自由を失いやすいと言われています。

 また、防御だけで目標を達成することは難しく、どこかのタイミングで攻撃に転じる必要があります。

◆一度守りに入ってしまうと、相手に振り回されて消耗してしまう

 言葉だけではなかなか伝わりにくいですが、サッカーやラグビーなどのスポーツをイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。

 ボールを持って攻めている側は自由に動くことができる一方で、守っている側は基本的に攻めている側に合わせる必要があります。

 つまり、守りに入ってしまうと、ボールを奪って攻めに転じるまで、ずっと相手に振り回されて無駄に消耗してしまうのです。

◆仕事をまわりから催促されると、期限や完成度を相手に合わせなければならない


 私は過酷な残業と強烈なパワハラによってメンタルが壊れたことがあります。一番の原因は、そのときの上司にあると思っています。

 でも、あのとき、下手に守りに入らなかったら、どこかのタイミングで攻めに転じていたら、無理な仕事を振られることもなかったし、パワハラを受けることもなかったのではと思うことがあります。

 なので、そのときの教訓を生かし、今は「攻める」という心構えで働いています。なんか意識高いことを言っていますが、デキる人たちがビジネス書に書くような高尚なことではないです。

 自分の仕事をまわりから催促されると、期限や完成度を相手に合わせる必要が出てくるので、「言われる前にやっておく」。

 5分で終わる仕事を後回しにすると、覚えておくことに無駄な労力がかかるし、忘れるリスクもあるので、「すぐできることは今やる」。面倒くさいことを放っておくともっと面倒くさいことに成長するので、「面倒くさいことほど先に潰す」など。

 要は自分が楽をするために、後でしんどくならないようにするんです。

 特別な知識や経験はいらない、心構えひとつでできる働き方です。

◆「頑張らざるを得ない状況」になる前にやっつけておく

 この「攻める」という心構えのおかげで、体力やメンタルを無駄に削られることは少なくなり、仕事がしんどいと思うことも少なくなりました。

 仕事って、結局はやらないといけないことなんです。

 なので、「がんばらざるを得ない状況」に追い込まれる前にやっつけておくことこそ、がんばらずに働く方法だと思います。

 がんばらないためにも仕事は攻めたほうがいいですよ。

他人に振り回されずに働くには「攻め」の心構えが重要

<文/わび>

【わび】

とある企業の危機管理屋。以前は幹部自衛官として、おもに師団司令部、方面総監部などに勤務。現在は会社員として働きながら、趣味の畑仕事や狩猟などを楽しむ日々を過ごす。一方で、転職をきっかけに自衛隊などの社会人経験で身につけたメンタルコントロール術、仕事や人間関係に対する向き合い方などを中心にXで発信を開始。フォロワー数は17万人を突破し、投稿はネットニュースなどにも取り上げられるなど、人気を博している。著書に『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語るこの世を生き抜く最強の技術』、新刊『人生から逃げない戦い方 メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』