編集者の山村光春さんが考える、今こそ訪れたい”いい音楽喫茶”とは? 山村さんの考察とともに、15の喫茶店とその店を象徴する一枚を紹介。第2回目に登場するのは、東京・神保町『ミロンガ ヌォーバ』。
『ミロンガ ヌォーバ』
新しいのに懐かしい、ほっと心が落ち着く場所。
アルゼンチンタンゴの心地よいリズムに包まれながら、炭火焙煎コーヒーと世界のビールを楽しめる店。2023年の移転後は、大きな窓から光が差し込むようになり、より軽やかで風通しのいい空間になった。テーブルや椅子などの家具は旧店舗からそのまま移動。常連客から近所の会社員まで、誰もが気軽に足を運び、幅広い客層に愛されている。壁面のレンガや彫刻家・昆野恒のレリーフがクラシカルな雰囲気を醸し、純喫茶好きにはたまらない。
『ミロンガ ヌォーバ』を象徴する一枚『Tango En Kimono』Orquesta Tipica Tokio
タンゴブームを牽引した藤沢嵐子と阿保郁夫のデュエットで、店長の浅見加代子さんがタンゴに興味を持つきっかけにもなったアルバム。店でライヴをした際にもらったサイン入り。
SHOP DATA
ミロンガ ヌォーバ
東京都千代田区神田神保町1‒3 03‒3295‒1716 11:30~22:30(22:00LO)土日祝11:30~19:00(18:30LO) 水休 カウンター席の前には昔懐かしいマッチが並ぶ。
photo : Jun Nakagawa
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編集者・コピーライター 山村光春
雑誌『オリーブ』のライターを経て、広告や雑誌の編集・執筆を手がける。『眺めのいいカフェ』(アスペクト)、『おうちで作れる カフェのお菓子』(世界文化社)など著書多数。「やさしい編集室」「京都芸術大学」講師。東京と福岡の二拠点生活。
&Premium No. 133 Cafés & Music / カフェと音楽。
心地よい空間に身を置き、淹れたてのコーヒー片手に流れる音楽に耳を傾ける。ひそやかで静謐な音色、心を揺さぶる歌声や演奏、懐かしいナンバーとの再会もあれば、新しいメロディとの邂逅もある。カルチャーのあるカフェや喫茶店は、音楽との思いがけない出合いを手渡してくれるかけがえのない存在。今号では、良質な音を届け続ける名店オーナーの選曲遍歴や全国の話題店のアルバムリスト、カフェを愛する人々が出合った大切な一曲など、351枚を収録。家でくつろぐひとときに似合う音楽を探し出す楽しみも、この一冊から見つけてもらえたらと思います。Better Lifeには、おいしいコーヒーと、いい音楽が必要ですね。
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