男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「デートは盛り上がってキスまでしたのに、3回目がない…」美人だけど本命になれない31歳女の特徴
「奈緒ちゃん、待って。どういうこと…?」
この人混みの中で、聞き間違えたのだろうか。必死に奈緒の手を掴もうとするけれど、するりとかわされてうまく掴めない。
「亮吾くん、ごめん。もう会えないし、会わないから」
この1ヶ月必死で追いかけた結果、奈緒とは心を通わせて楽しく過ごしていた。それなのに、今目の前にいる彼女はまるで僕の知らない人みたいに冷たい。
「理由は?せめて理由だけでも教えてほしい」
「…もういいよ」
そう言って、人混みの中へ消えていった奈緒。
結局、ここからLINEを送っても既読スルーになり、それから本当に連絡が取れなくなってしまった。
Q1:初対面から初デートに至るまで。女がOKした理由は?
奈緒と出会ったのは、行きつけのバーだった。隣に座っていた奈緒が可愛くて、僕は仲良しのバーテンダーさんを使って話しかける。
「何を飲んでいるんですか?」
女友達と来ていた奈緒は驚いた顔をしたけれど、その友達がバーテンダーと話し始めたタイミングで、すぐに打ち解けて話してくれるようになった。
「亮吾さんは、よくこのお店へ来られるんですか?」
「はい、結構な頻度で来ています」
この日は時間が遅かったこともあり、30分くらい話した後LINEを交換して解散となった。もう一度奈緒に会いたかった僕は、すぐに食事へ誘ってみた。
― Ryo:奈緒さん、今日はありがとうございました。来週とかはお忙しいですか?ゴハン行きませんか?
すると翌朝奈緒から返事が来て、僕たちはすぐに食事デートをすることになった。
初デートは、恵比寿にあるイタリアンをチョイスした。シェフが調理しているところを間近で見られるカウンター席だったりと、店選びも良かったのか、奈緒は終始ご機嫌だった。
「亮吾さんって、すごくチャラいのかと思っていました(笑)」
「え?どこが?」
「フレンドリーというか、気さくというか…」
たしかに、人との距離は近いほうかもしれない。でも誰でも話しかけるわけではないし、奈緒は特別だ。
「そんなことないよ!奈緒ちゃんは一目見て可愛いなと思ったから話しかけただけだし…そもそも、こうやって二人で食事へ行くこと自体が珍しいもん」
「そうなんですか?」
男性が女性と二人で食事へ行くなんて、理由はほぼ決まっている。
まれにそんなことがない人もいるかもしれないけれど、90%以上の男は多少の下心があるだろう。
好きな女性か可能性がある人でないと、食事には誘わない。基本的に支払う側の男性が二人で行くのには、ちゃんと理由がある。
「僕さ、すごい奈緒ちゃんのことがタイプで。顔もだけど、今日こうやって話してみて改めて実感した」
僕は初めて見た時から、奈緒のことが気になった。それにタイプだ。だから今日食事をしている。
「そんな…」
褒めると急に顔を赤めた奈緒。それが可愛くて、僕はもっと畳み掛けたくなる。
「本当に。僕、奈緒ちゃんのこと好きだよ」
「え?本当に?」
初デートであろうが、関係ない。それに女性は押しに弱いと聞く。ストレートに想いを伝えるほうが良いに決まっている。
するとこの考えは本当に当たっていたようで、奈緒がふわっと笑顔になったのを、僕は見過ごさなかった。
「ありがとう亮吾さん。嬉しい」
この顔を見て、僕はもう半分勝ちを確信した。
「奈緒ちゃん、またすぐに会いたいんだけど、来週のご予定は?」
「来週はちょっと忙しくて…。水曜なら大丈夫かもだけど」
「じゃあ水曜にしよう!空けといて」
こうして、僕たちは1週間も待たずしてすぐに二度目のデートをすることになった。
Q2:女が急に態度を変えた理由は?
そして次のデートに行くまでも、僕はかなり頑張った。毎日連絡をしたし、奈緒に僕の好意がさりげなく、でも確実に伝わるようにした。
その甲斐あってか、二度目のデートで奈緒は心を開いてくれたように思えた。
「奈緒ちゃんの好きなタイプって、どういう人?」
「私は、頼り甲斐ある人かな」
「頼り甲斐って?」
「例えば…デートのお店をすぐに決めてくれたり、引っ張っていってくれる人が好きかな」
「それって俺のことじゃん」
「たしかに(笑)。でもこうやって決断力がある人は好きだよ」
遠回しに奈緒から褒められて、嬉しくなる。やっぱり男は決断力があって、引っ張っていってくれるようなタイプがモテるらしい。
「ちなみに今、俺って何%くらい可能性ある?」
「どうだろう…80%くらいかな」
「まじで?嬉しいんだけど」
これはもう、ほぼ確定ではないだろうか。今日で会うのは三度目だけれど、このまま順調に奈緒と進む気しかしない。
「奈緒ちゃん、今日も本当に可愛いよね。俺、マジで好きだわ」
「本当に?ありがとう」
お酒も入り、気持ちも盛り上がる。こうして僕たちは1軒目を終え、2軒目へ移動することになった。
2軒目でも会話は途切れることもなく、僕たちの距離はどんどん近くなる。
「奈緒ちゃんって、絶対にモテるよね?可愛いし性格も良いし、気も使えるし…」
「そんなことないよ。亮吾さんのほうこそモテるでしょ?しかも積極的だし」
「積極的なのは、奈緒ちゃんにだけだよ」
「どうだろうな〜」
そう言いながらハイボールをクイっと飲む奈緒は妙に色っぽくて、僕は思わず、カウンター席の下で奈緒の手を握る。
すると、奈緒がふっと微笑んだ。
でも奈緒もまんざらでもないのか、それから僕たちはずっと手を繋いでいた。
手も振り払わないし、一緒にいても楽しい。それに相手も僕に好意がある。条件はすべて揃った気がする。
「奈緒ちゃん、来週末イルミネーション見に行かない?近くに好きな店があってさ」
「いいね、行きたい。でもさ、私たち毎週会うことになるよね?」
「いいじゃん。ダメ?」
「ダメじゃないけど…わかった、来週ね」
言われてみれば、来週も会うとなると、僕たちは会って1ヶ月で3回デートすることになる。でも僕の中で持論もある。
「どうせ毎日連絡を取り合っているし。会った方が早いじゃん。それに、俺は奈緒ちゃんに会いたいし」
「本当に亮吾さんって、ストレートだよね」
「ごめん、ウザい?」
「ううん。女性って押しに結局弱いから、嬉しいと思う」
「良かった」
こうして、二度目のデートまで確実に良い感じで進んでいた僕たち。
しかし、三度目のデートの帰り道、急に奈緒に手を振り払われ、そして振られてしまったのだ。
カウンターの下で手は繋いだけれど、それ以上に手も出していない。ちゃんと思いも伝えている。
それなのに、どうして奈緒は急に心が変わってしまったのだろうか…?
▶前回:「デートは盛り上がってキスまでしたのに、3回目がない…」美人だけど本命になれない31歳女の特徴
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女が最初から思っていたことは…