料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目12月のテーマは、「やさしい冬のおもてなし」。3つのレシピを紹介します。
「マッシュポテトのグラタン」「レンコンの香り和え」は、熱々で食べたいメニュー。箸休めに爽やかな「リンゴとディルのサラダ」を。
やさしい冬のおもてなし。
先生:この教室ももうすぐで丸一年。いよいよ寒くなってきたので今月はアレを作りますよ~。さて直子さん、何だと思う?
生徒:調理台に並ぶ材料は、ジャガイモに玉ネギに豚ひき肉。ズバリ、コロッケですね!
先生:そう思うでしょ? しかしながら正解は「マッシュポテトのグラタン」でした。
生徒:ハズレましたが小さい頃から大のグラタン好きです。ちなみにコロッケも……。
先生:良かった。こういうものはたっぷり作るほうがおいしいので、ドーンといくわよ。ジャガイモは軟らかくなるまで茹でて、しっかりつぶして牛乳でなめらかにします。
生徒:みじん切りにした玉ネギと豚ひき肉をバターでよく炒める……。ああ、ジャガイモと合わせて丸めてしまいたいっ。
先生:コロッケにしたい気持ちは抑えて、まずは塩胡椒で味を調えてちょうだいな。
生徒:はーい。次に鍋にバターを溶かして薄力粉を混ぜるんですね。頭の中もコロッケからグラタンにやっと移行してきました。
先生:鍋の中に牛乳を少しずつ注いで、薄力粉をペースト状にしていきます。こうするとソースがダマになりにくいからお勧めよ。
生徒:ホイッパーを使うとラクですね。これを機に、私も買ってみようかなぁ。
先生:ここまでできたら後は焼くだけ。まず耐熱皿にマッシュポテトを敷いて、きれいにならします。その上に炒めた玉ネギと豚ひき肉を敷き詰めて、つづいてソースをのせます。最後にチーズをふって、オーブンで15分から20分ほど焼きますよ。
生徒:幼少期のワクワク感が蘇ってきました。
先生:この間に付け合わせを作りましょう。
生徒:前回教わった「五色蒸し寿司」の酢バスを食べて、レンコンの魅力に開眼しました。「レンコンの香り和え」も気になります!
先生:今回のレシピは、あの酢バスの応用編よ。レンコンは皮をむいて、1・2㎝厚さの輪切りにしてから酢水にさらしておきます。お鍋に水と米酢を入れてフツフツしてから10分茹でてね。レンコンはある程度厚みをもたせたほうが、粘りやモチモチ感が出ておいしくなるの。大きいものは乱切りにしましょう。
生徒:切り方で味も変わる。有子先生の大事な教えのひとつであります。
先生:茹でている間に、「リンゴとディルのサラダ」を作りますよ。リンゴは皮も生かします。4等分にして芯を取り、長さを半分にしてから薄切りにします。ディルは柔らかい部分だけ使うので、茎から外しておいてね。
生徒:リンゴはどんな種類がいいですか?
先生:紅玉やジョナゴールド、紅ロマンなど、酸味の強いものが合いますよ。これから作るドレッシングとも馴染みがいいの。フレンチマスタード、オリーブオイル、白ワインビネガー、蜂蜜、粗塩を合わせましょう。
生徒:クリスマスカラーのサラダですね!
先生:ボウルにリンゴとディルを入れて、ドレッシングをまわしかけたら黒胡椒をふりますよ。レンコンも茹で上がったわよ~。湯をきったら熱いうちに柚子果汁を搾ってオリーブオイルと粗塩、実山椒をふって、柚子の皮をかけましょう。温かいうちに食べてね。
生徒:オーブンからはチーズの焼ける幸せな匂いが! グラタンも間もなく完成です。
先生:大皿から熱々を取り分けますよ~。
生徒:なんだか子どもに戻っちゃいそう!
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1.マッシュポテトのグラタン
大きめの耐熱皿にマッシュポテト、その上に、炒めた具材をのせて広げる。
ホワイトソースはゴムベラを使って、まんべんなく取る。覆うようにのせる。
〈材料〉作りやすい分量
ジャガイモ…4個(約500g)
牛乳…60㎖+450㎖
玉ネギ…1/2個
バター…10g+40g
豚ひき肉…250g
ナツメグ…少々
塩、白胡椒…各適量
薄力粉…70g
チーズ …75g
〈作り方〉
1.ジャガイモは皮をむいて半分に切って30分ほど茹でて、軟らかくなったらつぶして牛乳(60㎖)でなめらかにする。
2.玉ネギはみじん切りにする。バター(10g)で炒める。豚ひき肉も入れてよく炒め、ナツメグをふり、塩胡椒で味を調える。
3.鍋にバター(40g)を溶かし、薄力粉を混ぜ、牛乳(450㎖)を少しずつ注いでとろみのあるソースを作る。
4.耐熱皿に1、2を順に敷き、3をのせ、チーズをふってトースターか190℃のオーブンで15~20分焼く。