クリスマスやお正月など、年末年始は晴れやかなイベントが続きます。お客様も多くなるこの時期、玄関前を美しい寄せ植えで彩って、お祝いの日を演出しませんか。エム・アンド・ビー・フローラの寄せ植え名人、難波良憲さんが常緑低木の「スキミア」を使ったハレの日にぴったりの寄せ植えをご提案します。来年の春までたっぷり楽しめますよ。
冬から春にかけて活躍するスキミア
「ドアーフタイプ」のスキミア。左から、レッドドアーフ、ホワイトグローブ、マジックマルロー、セレブレーション。
スキミアはミカン科ミヤマシキミ(スキミア)属の常緑低木。花期は春の3月頃ですが、11月頃に花芽ができはじめ、晩秋から冬にかけてプチプチとした赤や緑のつぼみが可愛らしく、クリスマスやお正月の飾りとしてぴったり。樹高は80~100cmほどとコンパクトで、ゆっくり生育するので寄せ植えにも取り入れやすい低木です。葉に白い斑が入る品種や、雌株と雄株を一緒に植えることで赤い実がつく品種など、さまざまな品種があります。
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スキミアの赤色を生かす晴れやかな組み合わせの寄せ植え
<鉢のサイズ>
約7号(直径約19cm)
<使った植物>
スキミア 1株
ガーデンシクラメン 2苗
キンギョソウ‘ブランルージュ’ 1苗
ハボタン 2苗
ネメシア 1苗
ワイヤープランツ 1苗
スイートアリッサム 1苗
【組み合わせのポイント】色のつながりを見つけ出そう
寄せ植えの植物の組み合わせを考える際、色のつながりを意識すると上手にまとまります。ここではスキミアのつぼみの赤色と合わせて、赤系の花やリーフを選びました。また、バイカラーのネメシアのクリームイエローと、キンギョソウやワイヤープランツの斑入りの色もつながりがあります。見落としがちですが、この小さなつながりも全体のまとまりに大きな影響を与えます。花や葉といった目立つ部分だけでなく、茎や斑の色、葉脈の色、葉裏の色などもよく観察して、色のつながりを見つけてみましょう。
【配置のポイント】植物の向きを見極め後方から順に
寄せ植えを作るときは、どの方面からどう見るかをまず決めます。一方向的に見るときは、鉢の前後を決めます。全方向的に見る場合は、中央部が最も高くなるように植えていきます。
この寄せ植えでは、鉢の青いラベルがある方を前側として、一方向的に見ることを前提に植えていくので、後方を草丈が高く、前方へ向かって低くなるように後ろから順に植物を配置します。
① 今回使う花材の中で最も草丈が高いのはスキミアなので、スキミアを最初に鉢の最も後方へ配置します。このとき、植栽するときの苗の「向き」も仕上がりを左右する大事なポイントです。植物は正方形のような整形をしておらず、どこかが高かったり低かったり、ボリュームがあったりなかったり、有機的な形をしています。このスキミアの苗の場合、つぼみのついた枝が5本あり、3本のかたまりと2本のかたまりになっているので、ボリュームのある3本を鉢の後側へくるように配置すると、鉢の後方が最も背が高くボリュームが出てバランスがよくなります。
② スキミアの次に草丈の高いガーデンシクラメンを鉢の中央両サイドに配置し、株元にハボタンをそれぞれ植栽。ハボタンは中心部のバラのような巻きが見えるように少し前方に傾けて植えます。
③ スキミアとガーデンシクラメンの間の空間を埋めるようにネメシアを配置します。今回使うネメシアは赤紫と黄色のバイカラーの花が特徴です。全体に赤系の中に少量の黄色が入ることで変化が生まれます。
④ ネメシアの前方にキンギョソウ、スイートアリッサムを順に植栽し、最前方の鉢縁にワイヤープランツを植栽します。ワイヤープランツは鉢縁の形に合わせて苗を開くようにすると空間を上手に埋められます。
【Point!】植え込む際、苗の根がギュウギュウになっている場合は根をほどきます。その際、苗土を3〜4割落としても大丈夫です。さらに、苗土を水に濡らし、手の中で一旦ぎゅっとまとめてから植え込むと植栽しやすいです。植物によっては根をいじられると弱るものもあるので、特性を確認してから植栽するといいでしょう。
例)クリスマスローズ、クレマチス、ポピーなど直根性の植物は根をいじられるのが苦手。今回使ったスキミアは生育がとてもゆっくりなので、根を傷めると回復まで時間がかかります。あまり根を切ったりしないほうがよいです。
⑤ 株元に水やりをして完成です。水は上からやると根に行き渡らないことがあるので、株元の土にあげるようにしましょう。
【お手入れ】日の当たる場所に置いて、鉢土が乾いてから水をあげましょう。水のやり過ぎでも植物は傷みます。水をやる際は鉢底から水が流れ出るまでたっぷりあげます。冬の間はあまり生育しませんが、暖かくなると生育が旺盛になるので、定期的に液肥をあげると花色やボリュームを保てます。枯れた花や葉は摘み取りましょう。
【見頃が終わったら】
この寄せ植えの見頃はだいたい3月いっぱいです。スキミアの花が咲いて見頃が終わったら寄せ植えを解体して、植物ごとに養生したり、次のシーズンの寄せ植えに再活用したりもできます。
●スキミア/一年中、庭に緑を提供してくれる常緑樹です。直射や強い光を好まないので、シェードガーデンの素材として活用できます。
●ワイヤープランツ/寒冷地以外では一年中緑が楽しめる常緑低木です。他の寄せ植えにも活用できますし、グラウンドカバーにもできますが、地植えの場合は広がりすぎに注意が必要です。
●ネメシア/6月くらいまで花が咲き続けるので、別の鉢に植え替えて液肥をあげながら楽しみましょう。宿根性のネメシアの場合は風通しのよい場所に置き、多湿にならないように気をつければ夏越しし、再び10月くらいから花が楽しめます。
●ガーデンシクラメン/一年草扱いのことも多いですが、来年以降も楽しむ場合は、別鉢に球根の上部が表土の上に出るように植え替え、風通しのよい雨の当たらない場所で管理します。梅雨前までは日当たりの良い場所で、梅雨以降は明るい日陰へ。
●ハボタン/一年草扱いのことも多いですが、来年以降も楽しむ場合は、別鉢に植え替えます。春になると中央から花芽が上がってきて菜の花のような花が咲きます。それを下の方で切ると株元から分枝して、新芽が秋に色づきます。
●キンギョソウ‘ブランルージュ’/5月まで美しい葉色が楽しめる一年草です。
●スイートアリッサム/一年草のものもありますが、暑さにも寒さにも強く一年中開花する強健種もあるので、別の寄せ植えに使ったり、地植えでカーペット状に咲き広がらせてもよいでしょう。