30年以上にわたり病院の環境整備や清掃に携わってきた医療環境管理士の松本忠男さんに、「カビやほこり、菌、ウイルス」をためず健康に過ごせる家の掃除方法の、よくある間違いと正しいやり方を聞きました。あなたはいくつ間違っている?
家庭内に、菌やウイルスを残さないためには?
新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出時はマスク、手洗い、うがい、手指消毒はしっかりするようになったという人が多くなりました。
新型コロナウイルスの感染は、家庭内で発生する可能性が高いです。実は家の中には、感染リスクがたくさんあります。手洗いやうがいだけでなく、ウイルスが残る汚れた表面の拭き掃除をする必要があります。
また、かびや細菌の繁殖、ハウスダストも健康に大きな影響を及ぼします。
さらにホコリなどのハウスダストと一緒にウイルスが混じり部屋中に広がることもあるので、ハウスダストをためない部屋を保つことも大切です。
衛生面から見ると、手慣れた掃除方法がそもそも間違っていることも。正しい掃除方法で、家庭内のウイルス、カビ、ほこり、菌の数を減らしていきましょう。
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「掃除といえば水拭きをする」は間違い
まず最初にお伝えしたいのが学校で習う掃除法『窓を開けて、机と椅子を教室の片側に寄せて、掃き掃除をして、濡れ雑巾で床を拭く』というやり方。物を動かして空気中に舞い上がったホコリは、空気を浮遊した後、再び床や棚に落ちてきて積もります。
またウイルスは、ダニの死骸やフン、細菌、花粉、繊維のくず、人の髪や皮脂といったさまざまなチリの集まりであるハウスダストと混ざっていることがほとんどです。これらに水分を加えてから拭いても、逆に塗り広げてしまいます。まずは、どんな掃除をするときも乾拭きをして、汚れを取り除きましょう。
また拭き方も大切です。ホコリが舞い上がらないように乾いた布で一方向に吹き上げる方法が、一番汚れの量が減ります。
よくやりがちな、水拭きでゴシゴシ往復しながら拭き上げる方法は、拭く前よりもかえって汚れが増えるという実験データもあります。水拭きをすると気分的にスッキリするというのは、エビデンスのない掃除方法で、かえって感染リスクを高めます。
アルコール消毒スプレーを吹き付ける際にも、必ず乾拭きで一度一方向に拭いてから行いましょう。
掃除用の雑巾は、タオルではなくマイクロファイバークロスを使いましょう。タオルだとタオル自体から線維が出てきてしまい、汚れが残りがち。線維が細かいマイクロファイバークロスなら、しっかり汚れをキャッチします。
床のこびりついた汚れを落としたいときは、80℃のお湯を500mLに、重曹大さじ1を加えた重曹水をスプレーして3分間置いてから拭き取りましょう。