「マメで積極的でも…」レストランのカウンター席で、グイグイ口説いてくる男に要注意なワケ

今週のテーマは「強気で押して、落ちたはずの女性の態度が急変した理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:2度目のデート、カウンター席の下で手を繋いだ男。女が拒否しないからOKだと思ったら…

12月の東京の人混みの中を、一秒でも早く亮吾と離れたい気持ちがピークに達した私は、早歩きをする。

「奈緒ちゃん、待って。どういうこと…?」

私の気持ちなんてまったく気付いていない亮吾に腕を掴まれそうになり、慌ててそれをかわす。

「亮吾くん、ごめん。もう会えないし、会わないから」

「理由は?せめて理由だけでも教えてほしい」

理由を話すのさえ、もう面倒だ。

女は一度冷めると、今まで好きだったり、いいなと思っていたりしていた人が急にどうでもよくなることがある。

プラス100点満点だったのが、急にマイナス100点以下になるのだ。

「…もういいよ」

そう言って、私は亮吾を冬の街に残し歩き出す。

出会った時から初デートくらいまでは良かった。ちょっと好きになりかけていた。でも三回デートをして、私は気が付いてしまった。

積極的に連絡をくれる、押しが強めな男性の本質に…。



A1:積極的なのが良かった。



亮吾とは、女友達に連れていってもらったバーで、たまたま隣に座っていた彼が話しかけてきたことがキッカケで知り合った。

「何を飲んでいるんですか?」

そのタイミングで女友達がバーテンダーと話し始めたので、必然的に私は亮吾と話すことになる。

話しやすくて盛り上げ上手な亮吾。

「亮吾さんは、よくこのお店へ来られるんですか?」

「はい、結構な頻度で来ています」

気がつけば彼のペースに巻き込まれ、LINEを交換することになった。帰宅してすぐに、亮吾から連絡が来た。

― Ryo:奈緒さん、今日はありがとうございました。来週とかはお忙しいですか?ゴハン行きませんか?

少し迷ったけれど、悪い感じはしなかったし、ちょうど出会いを探しているタイミングだったから翌朝返信をした。

そして翌週には、恵比寿にある素敵なイタリアンでデートをすることになった。

「亮吾さんって、すごくチャラいのかと思っていました(笑)」

出会った時のノリの良さからして、出会った女性すべてに声をかけているのかと思っていた。

「え?どこが?」

「フレンドリーというか、気さくというか…」

しかし意外にも、そうではなかったらしい。

「そんなことないよ!奈緒ちゃんは一目見て可愛いなと思ったから話しかけただけだし…そもそも、こうやって二人で食事へ行くこと自体が珍しいもん」

「そうなんですか?」

これは嬉しい。

女性だったら誰でもいいのかと思っていたけれど、“私だから”と言ってくれた亮吾。これは、少し信頼しても良いのだろうか?

ここからさらに、私は亮吾のペースに巻き込まれていくことになる。

「僕さ、すごい奈緒ちゃんのことがタイプで。顔もだけど、今日こうやって話してみて改めて実感した」

あまりにも突然の告白に、私は思わず赤面してしまう。

「そんな…」

でも私が赤面した理由は、別にもあった。

静かでオシャレな店内に、亮吾の言葉が響き渡る。しかも、店主と結構距離が近いカウンター席…。

店主は気を使って会話を聞いていないフリをしてくれているけれど、聞こえているに違いない。

「本当に。僕、奈緒ちゃんのこと好きだよ」

しかし、私のそんな気持ちなんてお構いなしに続ける亮吾。

― ここで言わなくてもいいでしょ…。

そう思いながらも、“好き”と言われて嫌な気持ちはしないし、一応お礼の気持ちは伝えてみる。

「ありがとう亮吾さん。嬉しい」

この後も積極的に褒めてくる亮吾。嬉しい気持ちと恥ずかしさが交錯する中、デートが終わった。

そしてデートが終わる間際に、次のデートに誘われた。

「奈緒ちゃん、またすぐに会いたいんだけど」

ここまでは良かった。しかし、意外にもその予定は私が思っていたよりもずっと直近だったのだ。

「来週のご予定は?」

「来週はちょっと忙しくて…。水曜なら大丈夫かもだけど」

「じゃあ水曜にしよう!空けといて」

少し強引な亮吾に流されるように決まった二度目のデート。

でも二度目のデート…そして三度目のデートを経て、“マメで、押しが強い男”に対してある疑問が湧いてくることになる。



A2:押しが強すぎる=自分のことしか考えていない自己中男。



二度目のデートに至るまで、ほぼ毎日連絡をくれた亮吾。

― この人、すごいマメだな…。

そう思った。しかし二度目のデートをした時に、初めて会った時から引っかかっていた原因がわかった。例えるなら、喉に突っかかっていた魚の小骨が取れたようなスッキリ感があった。

「奈緒ちゃんの好きなタイプって、どういう人?」

「私は、頼り甲斐ある人かな」

「頼り甲斐って?」

「例えば…デートのお店をすぐに決めてくれたり、引っ張っていってくれたりする人が好きかな」

「それって俺のことじゃん」

「たしかに(笑)。でもこうやって決断力がある人は好きだよ」

二度目のデートの冒頭から、彼はグイグイ責めて来る。

「ちなみに今、俺って何%くらい可能性ある?」

「どうだろう…80%くらいかな」

「まじで?嬉しいんだけど」

いい人だし、こうして好意をしっかり示してくれるのは嬉しい。でもこれだけ「好き」と言ってくれても、亮吾に気持ちがなびかないのには、ちゃんと理由があった。

「奈緒ちゃん、今日も本当に可愛いよね。俺、マジで好きだわ」

「本当に?ありがとう」

― この人の「好き」、軽すぎないか…?

たった三度、それも初回はバーで会っただけなのに、私の何を知って「好き」だと言うのだろう。それに加えて、「奈緒ちゃんは彼氏いるの?」と一度も聞いてこない。

「奈緒ちゃんって、絶対にモテるよね?可愛いし性格も良いし、気も使えるし…」

「そんなことないよ。亮吾さんのほうこそモテるでしょ?しかも積極的だし」

「積極的なのは、奈緒ちゃんにだけだよ」

「どうだろうな〜」

勝手に私に彼氏がいないと決めつけ、所構わず「好き、好き」と言ってくる男性…。どう考えても信用できない。

そしてグイグイ来る男性は、ただの自己中であることに私は気がついた。

「奈緒ちゃん、来週末イルミネーション見に行かない?近くに好きな店があってさ」

「いいね、行きたい。でもさ、私たち毎週会うことになるよね?」

「いいじゃん。ダメ?」

「ダメじゃないけど…わかった、来週ね」

こちらが断りづらいような言い方で誘ってきて、NOと言わせない雰囲気にしてくる。でも本当に私のことを好きで、想ってくれているならば別の聞き方をしてくるだろう。

「どうせ毎日連絡を取り合っているし。会った方が早いじゃん。それに、俺は奈緒ちゃんに会いたいし」

「本当に亮吾さんって、ストレートだよね」

「ごめん、ウザい?」

「ううん。女性って押しに結局弱いから、嬉しいと思う」

たしかに、女性は押しに弱い人が多い。

好きでなくても毎日連絡をくれたり、会いに来てくれたりすると好きになる場合もある。

でも、亮吾の場合は違う。

相手の都合や話をほとんど聞かず、グイグイと誘い、一方的に「好き、好き」と言ってくる。そして、「この状況でこれを言ったら相手は困るかな?」という配慮もない。

押しが強い男には、たいてい自己中心的な一面が潜んでいる。

― この人のペースに、これ以上巻き込まれるのは嫌だな…。

三度目のデートでもかなり自己中だったので、私は早々に離れる決意をした。



▶【Q】はこちら:2度目のデート、カウンター席の下で手を繋いだ男。女が拒否しないからOKだと思ったら…

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

▶NEXT:12月21日 土曜更新予定

この時期ならではの男女の切ないすれ違い…