サウンド・インスタレーションを包括的に紹介する、日本では最大規模の個展。
2024年12月21日(土)より、東京都現代美術館にて音楽家・アーティスト、坂本龍一さん(1952-2023)の個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が開催されます。
photo : Neo Sora ©2017 Kab Inc.
50年以上にわたり、多彩な表現活動を通して、時代の先端を切り開いてきた坂本龍一さん。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して「音」を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考、実践してきました。
坂本さんは生前、東京都現代美術館のために展覧会構想を遺していたといいます。今回はその構想のもと、坂本さんの創作活動における長年の関心事であった「音と時間」をテーマに、未発表の新作と、これまでの代表作から成る没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品10点あまりをダイナミックに構成し、展開。大型インスタレーション作品を包括的に紹介する日本での展示としては、これまでに最大規模のものとなります。
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本展に合わせて再制作される、高谷史郎さんとのコラボレーション作品。
坂本龍一 with 高谷史郎《IS YOUR TIME》2017/2023年「Ryuichi Sakamoto SOUND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023 年 画像提供:成都木木美術館
坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》2007/2023 年「Ryuichi Sakamoto SOUND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023年 画像提供:成都木木美術館
坂本龍一+高谷史郎《async–immersion 2023》2023年 「AMBIENT KYOTO 2023」展示風景、京都新聞ビル地下1階、2023年 Photo by Satoshi Nagare
注目は、坂本さんが長年にわたり協働をおこなってきたアーティスト・高谷史郎さんとのコラボレーション作品。
《IS YOUR TIME》(2017/2024)は、坂本さんが東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出会い、それを「自然によって調律されたピアノ」と捉え作品化したもの。大自然の営みによってひとつのものに還ったピアノが世界各地の地震データを用い、地球を鳴動する装置として生まれ変わります。
坂本さんと高谷さんのインスタレーションには、水や霧が重要な要素として繰り返し登場します。2007年に発表された代表作《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》(2007) は、坂本さんのオペラ『LIFE』(1999)をベースとするサウンドに包まれた空間に、頭上に浮かんだ9つの水槽が明滅する中をゆっくりと歩み、従来のリニアな体験とは異なる時空間の拡がりと流れを体感できる作品となっています。ほか、《water state 1》(2013)、 そして本展にあわせて制作された《async–immersion tokyo》《TIME TIME》(いずれも2024)が展示されます。