編集者の山村光春さんが考える、今こそ訪れたい”いい音楽喫茶”とは? 山村さんの考察とともに、15の喫茶店とその店を象徴する一枚を紹介。第5回目に登場するのは、東京・四谷『ジャズ喫茶 いーぐる』。

『ジャズ喫茶 いーぐる』
緻密に計算されたジャズ空間で音に身を委ねる。

ジャズの音色に誘われ地下に潜ると、温かさの中に一抹のストイックさを持つ隠れ家のような空間が。創業から57年、多くのジャズファンが通う名店になったのは良質な選曲があってこそ。いい曲を、心地よい流れになるよう考えてセレクトする様はDJさながらだ。鎮座する〈JBL〉のスピーカーは、リラックスして聴けるまろやかな音質が特徴。理想とする"誰もが居心地の良い店"にするために、必要不可欠な存在として音を鳴らし続けている。

『ジャズ喫茶 いーぐる』を象徴する一枚『Worth While Konitz』Lee Konitz

サックス奏者、リー・コニッツの日本限定アルバム。店をオープンした当時から注目していたミュージシャンで、1993年の来日時には、後藤さん自らインタビューも行ったそう。

SHOP DATA
ジャズ喫茶 いーぐる

東京都新宿区四谷1−8−6 ホリナカビルB1 03−3357−9857 11:30~23:20(土12:00~) 日祝休 ジャズ評論家としても活動する店主の後藤雅洋さんの選曲は有線でも放送中。

photo : Jun Nakagawa

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編集者・コピーライター 山村光春

雑誌『オリーブ』のライターを経て、広告や雑誌の編集・執筆を手がける。『眺めのいいカフェ』(アスペクト)、『おうちで作れる カフェのお菓子』(世界文化社)など著書多数。「やさしい編集室」「京都芸術大学」講師。東京と福岡の二拠点生活。

&Premium No. 133 Cafés & Music / カフェと音楽。

心地よい空間に身を置き、淹れたてのコーヒー片手に流れる音楽に耳を傾ける。ひそやかで静謐な音色、心を揺さぶる歌声や演奏、懐かしいナンバーとの再会もあれば、新しいメロディとの邂逅もある。カルチャーのあるカフェや喫茶店は、音楽との思いがけない出合いを手渡してくれるかけがえのない存在。今号では、良質な音を届け続ける名店オーナーの選曲遍歴や全国の話題店のアルバムリスト、カフェを愛する人々が出合った大切な一曲など、351枚を収録。家でくつろぐひとときに似合う音楽を探し出す楽しみも、この一冊から見つけてもらえたらと思います。Better Lifeには、おいしいコーヒーと、いい音楽が必要ですね。

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