今週のテーマは「ディナーからのイルミネーション。完璧なデートプランだったのに、女の態度が急変した理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:「冬のデートで、これはNG」マッチング後、六本木で初デート。女が32歳男に幻滅したワケ
12月の六本木は、キラキラと輝く綺麗なイルミネーションに、美味しいお店に素敵なバー…と、魅力が満載だ。
だから、普段よりもさらに人が増える。
そして今、私は隣にいる武雄と六本木の人混みを少し距離を取って歩いている。だけどこの人は、何も気が付いていないらしい。
「せっかくだし、ベンチとか空いてないかな」
人でごった返すイルミネーションを見ながら、そんなことを言い始めた武雄。もう耐えられなくなり、私はそそくさと撤退することにした。
どうして私が帰りたいと思ったか?
それには夏のデートにはない、この時期ならではの冬のデートで、男性がしてはいけないNG言動が満載だったからだ。
A1:初デートなのに鉄板デート過ぎて少し恥ずかしい。
武雄と出会ったのは、マッチングアプリだった。横浜在住と書いていたけれど、年収800万くらい、年齢も32歳で悪くないし、顔も爽やかなイケメンだった。
すぐにマッチし、私たちは何度かチャットで会話をした後、会うことになった。
しかしお互い年末で忙しく、たまたま空いていたのがクリスマス前の週末だったので、私たちはその日に会う約束をする。
当日、武雄が予約してくれていたのは、六本木にあるイタリアンだった。そこでまず、私は一瞬「え?」となる。
少し遅れてお店へ向かうと、ガチガチのクリスマスディナーで、思わず身構える。
― 今日、初デートだよね…?
真剣にお店選びをしてくれたのは嬉しいが、気合が入りすぎていて、逆に申し訳ない気持ちにもなってくる。
「遅れちゃってすみません!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。逆に、僕が早く着きすぎてしまったので」
写真通りの雰囲気の人で、ひとまず胸を撫で下ろす。それに、遅れてしまった私にも優しく微笑みかけてくれ、「あぁ、素敵な人だな」と思った。
「何を飲まれますか?友美さんは、何がお好きですか?」
「私は…ハイボールにしようかな。武雄さんは?普段は何を飲まれます?」
「僕は、最初の一杯はビールにしようかな」
少しぎこちない感じで始まった初デート。でも時間は限られているし、聞きたいことは山ほどある。
「友美さんは、今代理店にお勤めでしたっけ?」
「はい。武雄さんは、人材系でしたよね?」
「そうですよ」
そして気になっていたことを聞いてみる。
「武雄さんのお住まいは、神奈川のほうでした?」
「今、横浜に住んでいます」
横浜は、オシャレな街だし悪い印象はない。
「今日はわざわざ東京に?職場が横浜の方なんですか?」
「横浜から東京なんて、すごく近いですよ(笑)。職場は東京なのですが、通える範囲なので」
「これからもずっと横浜に住む予定ですか?」
― 家賃が安いからってことかな…?
住んでいるエリアは、その人のキャラクターを作ると思う。そしてその場所を選んだ人の性格が、なんとなく垣間見える。
「それは相手次第というか…。でも横浜は好きなので、住み続けても良いかなと思っています。友美さんは、乃木坂ですよね?」
「そうです!だからこのお店にしてくれたんですか?」
「お家から近いほうが、来やすいかなと思いまして」
― とりあえず、将来どこへ住むかは置いておこう。
別に横浜でも構わない。そう思いながらデートを続ける。
「友美さんって、笑顔が素敵ですよね」
「ありがとうございます♡」
褒めてくれるし、いい人だ。ただこの後からが問題だった。
お会計を済ませてくれて、外へ出た私たち。しかし彼の服装に、私は一瞬目を丸くしてしまった。
A2:色々と絶妙にダサい。
外へ出ると結構寒くて、私は思わずモコモコしたお気に入りのコートの前をぎゅっと閉じた。
「友美さん、モコモコですね(笑)」
私の服装は、どちらかというとオシャレなほうだったと思う。でも武雄の服装を見て、私はどう突っ込んで良いのかわからなくなった。
武雄は薄手のコートに、なぜか薄手のストールを首に巻いている。マフラーではなくストールだというのが微妙だった。
もちろん、ストールが絶対にナシというわけではない。
お洒落で高級感のあるコートにマッチしたカシミアの上質な物を合わせて、英国紳士のようなクールなコーディネートだったら素敵に見えるかもしれない。
でも、一昔前のトレンディ俳優が巻いていそうな薄手の素材というのが嫌だ。
― そのストール、巻かないほうが良いのでは?
そう思うくらい、全体的に、服装が絶妙にダサい。
「そうですか?むしろ、武雄さんは寒くないんですか?」
「大丈夫ですよ。ストールがあるので」
「ストール…本当だ」
しかもそれだけでは終わらなかった。
「少し歩けますか?せっかくだから、イルミネーション見に行かないかなと思って」
― え?今から歩いて行くの?
週末の今日は絶対混んでいるし、そもそも歩く想定の靴を履いてきていない。歩けないことはないけれど、もしイルミネーションを見に行くなら事前に言ってほしい。
「寒くないですか?歩けることは歩けますが」
「じゃあ…行ってみますか」
そして10分強という絶妙な距離を歩く武雄。
「普段、友美さんはどういう感じの生活なんですか?」
「そうですね…。仕事終わりに友達と合流して、この界隈でご飯食べることも多いですね。武雄さんは?もっぱら横浜のほうですか?」
「いやいや。恵比寿とか中目黒とかも多いですよ。職場の人と飲む時は、虎ノ門とかもありますし」
「そうなんですね〜」
会話もつまらなくなってきたし、とにかく12月という寒空の下、どうしてデートで…しかも初デートで女性を歩かせようとするのだろうか。
そしてもう一つ言うと、家が近いのでイルミネーションはもうたくさん見たし、別にわざわざ今日行く必要はない。
そんなこちらの気持ちに気がつかない武雄は、とても楽しそうにしている。
周辺に着くと、案の定イルミネーションを見るために大勢の人が集まっている。
「すごい人ですね…」
「ですよね」
人がいるのは構わない。何度見てもやっぱりイルミネーションは綺麗だし、この季節の凜とした空気と対比するかのような温かな灯りは、心が豊かになる気がするから。
「いいなぁ…。イルミネーションを好きな人と見られるって、最高に幸せな時間ですよね。冬のデートの醍醐味って感じがして、好きなんです」
「わかります。やっぱりいいですよね」
しかしそれよりも、私は隣にいるストール男…じゃなかった、武雄と一緒にいるのを誰かに見られたらどうしようかという気持ちが強くなる。
― この人と一緒にいるのを、友達とか知人とかに見られたら嫌だな…。
さらに私が「この人、ナシ」と思ったのが、次のセリフだった。
「せっかくだし、ベンチとか空いてないかな」
今日、私は白のロングコートを着ている。ベンチに座る前に、ハンカチでもさっと敷いてくれるならば話は別だ。
でもきっとそんなことはないだろ。そもそもイルミネーションを見に行くと聞いていなかったので、そこまでの防寒対策ができていない。
― ダメだ、この人。センスないわ。
そう思ったら、もう居ても立ってもいられなくなり、私は「寒いから」という適当な言い訳をしてその場を離れることにした。
― 絶妙に、残念なんだよな…。
次のデートをする気持ちにもなれず、一度きりで終わらせてしまった。
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