ファッションデザイナーの稲葉賀恵さんの集大成とも言える新著『yoshie inaba』が12月24日、講談社から出版される。
稲葉さんは1970年、一世を風靡(ふうび)したファッションブランド「BIGI」を立ち上げ、1981年に自らの名前を冠した「yoshie inaba」をスタート。上質の素材を使った品のある女性の服は長く多くの女性たちに愛されてきた。そして2025年2月をもって、ブランドを終了。
そんな稲葉さんのものづくりの原点や、モデルとしても登場した雑誌『ミセス』との出合いなどを語っている。また、いつも着る人のことを考えた服作りなど、ゆらぐことのなかった稲葉さんのデザインへの姿勢や思いなどが伝わってくる。
『「いつも同じでごめんなさいね」。yoshie inabaのショーに足を運んでくださる皆さんに、よくそんなふうに言っていたものです。それくらい、私が作る服はデザインがあまり変わらない。基本の服をしつこく作り続けてきました。(中略)どれもが自分の分身のようにいとおしい。でも、それらは決して過去のものではなく、今も折に触れて袖を通す現役、そしてこれからもずっと着続けるであろう服たちです。』(第四章「マイ・スタイル」ー着る人の顔がわかる服が好きーより)
様々なコレクション写真や貴重な資料なども掲載されており、稲葉さんの半世紀を超えるデザイナー人生が凝縮された一冊となっている。
text: Izumi Miyachi
・「yoshie inaba(ヨシエ イナバ)」40年を超えるブランドの歴史に終止符。稲葉賀惠からのメッセージ