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 米電気自動車(EV)大手のテスラのサイバートラックは、先進的なデザインで期待を集めた。だが、オーナーたちは日々の運転でさまざまな不便を感じているようだ。洗車場に入れない、小さな駐車場にねじ込むのが難しい——などに加え、高額な修理費とリコールの多発が問題となっている。

◆道路の穴を越えただけで……

 道路の陥没穴で衝撃を受けたサイバートラックが、3万4013ドル(約530万円)の修理費用を請求されたとしてアメリカで話題になっている。自動車専門メディアの米カー・スクープによると、車両の修理に約4ヶ月を要し、費用は幸いにも保険会社が負担したという。

 同メディアは損傷の詳細について、「リアサスペンションマウントの破損によりフレームに穴が開き、フレーム全体の交換が必要となった」と伝えている。さらに、フロントとリアのラック・アンド・ピニオンステアリング、全周囲のサスペンション、フロントとリアのバンパー、エアサスペンションシステム、ベッドコンポーネントなど、「当初の想定を超える多数の部品交換が必要となった」としている。

 保険の範囲内となったものの、オーナーは約4ヶ月間にわたり運転できない不便な状態を強いられた。

◆無理な扱いをしたとの情報も

 頑丈なはずだったサイバートラックの意外な脆さが明るみに出る一方で、オーナーが無茶な扱いをしたとの疑惑も持たれている。

 事故の原因をめぐりカー・スクープは、交流サイトの「レディット」に投稿された疑問の声を取り上げている。同サイトの投稿者によると、事故を起こしたオーナーは8月の時点で「車両を22フィート(約6.7メートル)の高さからジャンプさせた」と明かしていたという。ただし、この投稿を裏付ける証拠はない。

 オーナー自身はフェイスブックへの投稿で、「荒れた道路に非常に大きな穴が空いており、それが一連の出来事のきっかけとなった」と説明している。

 大きな修理を要したオーナーだが、サイバートラックへの愛着は変わらないという。事故後、「車両の耐久性を批判する意図はない。このトラックがいかに頑丈で高性能であるかを知れば驚くはずだ。これは私が今まで所有したなかで最も素晴らしいトラックだ」と述べている。

◆高額修理やリコール相次ぐサイバートラック

 サイバートラックをめぐっては、ほかにも高額修理の事例が報告されている。米自動車専門メディアのトルク・ニュースによると、ミシガン州のオーナーは約9000マイル(約1万4000キロ)を走行した時点で小石が車体下部に入り込み、アルミニウムケースに穴を開けてオイル漏れが発生したという。

 テスラのサービスセンターは後部ドライブユニット全体の交換が必要と判断し、7665ドル(約120万円)の修理費用を請求した。これの対応にオーナーは憤り、「小さな石でこのような損傷が起きることが理解しがたい」と訴えている。だが、溶接による修理は、構造上の問題から難しいとの見解が示されている。

 サイバートラックは今年、すでに7回のリコールが発表されている。12月に発表された7回目のリコールは、タイヤの空気圧を監視するシステムの不具合に関するもので、サイバートラックなど3車種約70万台がリコールの対象となった。

 そのほかこれまでに、リアビューカメラの遅延問題で2万7100台以上、フロントワイパーの故障で1万1600台以上、アクセルペダルの固着で約4000台のリコールを実施した。さらに2月には、警告灯パネルの文字サイズ問題で約220万台のテスラ車がリコール対象となっており、これに一部のサイバートラックも含まれていた。

 銃弾にも堪えるサイバートラックだが、修理費用を考えれば繊細な扱いをせざるを得ないようだ。