韓国「咸安落火ノリ」息をのむ幻想的な火祭りで、忘れられない夜を

今話題の、韓国の三大花火大会の一つ、「咸安落火ノリ(ハマンナッファノリ)」は、韓国南部の咸安(ハマン)で開催される伝統的な火祭り。咸安は釜山や大邱からはバスなどで1時間半ほどの場所にある。慶尚南道(キョンサンナムド)の無形遺産に指定され、他では味わえない優雅な体験ができる特別なイベントだ。(取材協力:韓国観光公社)


点火直後の様子。徐々に火の粉が大きくなる。振動や風に吹かれることで火の粉が大きく舞い上がる

「落火ノリ」は直訳すると「火が落ちる遊び」を意味し、河川沿いでの幻想的な花火ショーが見どころ。独自の文化や伝統美を重んじるこの花火大会は、他の花火大会と違い、火の粉が水面に反射して作り出される美しい光景が特徴。このイベントは、韓国国内でも特に人気が高く、長い歴史を誇り、毎年国内外から数万人の観光客が訪れるが、最近では『生まれ変わってもよろしく』など多数の韓国ドラマにも登場し話題を集めている。

縄状のひも一つ一つに点火する様子。縄状のひもには参加者からの願いを書いた短冊も下げられている

この火祭りは、木炭粉を紙や布を使って縄状に編んだものをひもにぶら下げ点火し、舞い落ちる火の粉が幻想的な風景をつくる。火薬を使わずに自然素材を使用しているため環境汚染ややけどの恐れ、騒音が少なく安全なのが特長。咸安郡民の安寧を祈る意味から始まったこの民俗行事は、毎年釈迦誕生日(旧暦4月8日)に行われており、祝賀公演、祭礼行事、落火ノリ点火、招待歌手公演、花火などさまざまな見どころとともに楽しむことができる。今回は完全予約制の特別イベントに参加し、取材を行った。


火の粉がさらに大きく舞い上がる様子

会場では、火の粉が舞い上がる様子にあわせて、韓国の伝統的な撥弦(はつげん)楽器カヤグム(伽倻琴)を使った音楽の演奏がある。さらに、地酒や軽食も配布され、風に吹かれて火の粉が舞い上がる様子と情緒的な音楽が重なり、観客はそれぞれの思いにふけりながら、幻想的な花火に見入ることができる。


風に吹かれて火の粉が大きく舞い上がる様子。風が吹くたびに、観客からは感嘆する声が上がる

咸安落火ノリは年に1度、年中行事として開催されてきたが、人気が高まり見物客が多くなったことで、日本人専用のイベントとして開催されるなど4月以外にも行われる。開催情報を見つけたら、ぜひ咸安に足を運んでみることをおすすめする。

世界最大級没入型メディアアート展示館「アルテミュージアム釜山」へ

せっかく、咸安落火ノリに来ることがあれば、タクシーやレンタカーで1時間半ほどで釜山にも足を運ぶことができる。韓国随一のリゾート地であり、洗練された文化の都市・釜山(プサン)。韓国第2の都市ながら、ソウルとはまた異なる、海が広がる特別な魅力を持つ釜山は、ラグジュアリーな体験を求める女性にぴったりの旅行先。自然と洗練が交差するこの街で、特別なひとときを過ごしてみては。釜山を訪れるなら、最先端のデジタルアートが体験できる「アルテミュージアム釜山」もぜひ訪れたいスポット。


入ってすぐに圧倒される滝のスポット

光や音に包まれた空間は非日常そのもの。五感を刺激するアートと共に、幻想的な時間を過ごすことで、心の奥底からインスピレーションが湧いてくるかも。

〈左〉展示場に入ると最初に目に入る作品「循環」〈上〉バラの香りとともにバラで埋め尽くされたスペース「FLOWER ROSE バラ」(「アルテミュージアム釜山」)


ヨーロッパの美術館の名画が動きとともにこれでもか! と迫ってくるスペース

アルテミュージアムに併設された「アルテカフェ」は、訪れる人々を魅了する独特の世界観を持ったカフェ。店内では、デジタル技術を駆使した幻想的な仕掛けが楽しめる。その一例として、ラテの表面にまるで気球が浮かんでいるかのように見える演出は、思わず写真を撮りたくなるほどの美しさ。こうした遊び心のある仕掛けが、飲み物一杯に特別な体験を添えてくれる。また、店内の照明はムーディで落ち着いた雰囲気を演出しており、アート鑑賞の後にゆっくりと余韻を楽しむのにぴったり。スタイリッシュで洗練されたインテリアが、訪れる人を特別な時間へと誘う。アートとデジタル技術が融合した非日常的なひとときを、「アルテカフェ」でぜひ体験してみて。

〈左〉釜山のリゾートの中にいるような「ARTE CAFÉ」〈右〉「ARTE CAFÉ」のラテをカフェ内席で飲むと、ラテの中に気球が浮かび上がり、写真に必ず撮りたくなる


「アルテミュージアム釜山」外観

アルテミュージアム釜山
住所:釜山広域市 影島区 海洋路247番ギル 29
https://jp.artemuseum.com/BUSAN

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釜山に来たら、「テジクッパ(豚肉スープご飯)」も忘れずに

テジクッパは、豚肉をじっくり煮込んだ濃厚なスープにご飯を合わせていただく、韓国南部の釜山発祥の料理。豚肉の旨味(うまみ)が溶け込んだスープは、ほどよい深みと豊かなコクが口いっぱいに広がる。また、各自で塩や薬味を加えて、自分好みの味に調整できるのも魅力。テジクッパはシンプルな食材の味を丁寧に引き出した料理であり、その奥深い味わいは食にこだわる方にもぴったり。釜山の地元で親しまれるスタイルでいただくのもよし、薬味にニラや唐辛子を少し加えてピリッとしたアクセントを楽しむなど、アレンジの幅も広がる。

韓国の庶民的なソウルフードとして愛され続け、釜山では「心を温めてくれる料理」としても知られるテジクッパ。近年では、そのおいしさが世界にも広がり、日本をはじめとする多くの国で韓国料理店のメニューとして提供されている。豚肉をじっくり煮込んだスープとご飯が一体となったこの料理は、その香りと味わいで韓国人の胃袋だけでなく心までも満たしてきた。

「韓国人の血液の90%はテジクッパでできている」と言われるほど、その人気は絶大で、特に釜山では、日常の食卓から特別な日の一皿に至るまで、あらゆる場面で親しまれている。忙しい日常の中で、心と体をリフレッシュさせるために、ほっと落ち着ける味が恋しいときに最適。滋養に満ちた一杯で、内面から温まるひとときを過ごしてみて。

影島ミョノテジクッパ
住所:釜山広域市影島区海洋路205-1 1階

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