コンテストガーデンC
Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」

小野雄大

(宮城県)


スワローテールガーデン代表。英国の「ドライストーンウォーリング」という石だけを使った石積みを中心に様々な広さの庭づくりをしています。そこに集まる生き物たちや、たおやかによりそうように成長して行く植物たち、みんなにとって気持ちの良い場所になるように。そんな思いを軸に設計デザインから施工まで手がけています。

【作品のテーマ・制作意図】

砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

【植栽計画について】

ガーデンは、敷地に高低差をつけて作業通路と大型のグラスがあるブロック植栽で区切り、4つのマトリックスエリアで構成。1.西日や乾燥に強い植栽エリア、2と3.緩やかなミラーボーダーで蝶々やミツバチの蜜源になる植栽エリア、4.半日陰に強い植栽エリア、とそれぞれ特徴は異なります。見る場所や角度によって印象が変わり、より複雑に見えるような視覚効果があり、春から夏は花数が多くてにぎやかな植栽、秋はグラスをメインとした風情のある植栽となっています。

【主な植物リスト】

バンカープランツ:へメロカリス/ユウスゲ/イタリアンパセリ など
宿根草:モナルダ・ブリドブリアナ/エキナセア‘メローイエロー’/アスター‘オクトーバースカイ’ など
グラス類:スキザキリウム‘ハハトンカ’/ぺニセタム・カシアン/パニカム‘シェナンドア’ など
低木:キンカン/アロニア/コバノズイナ など
球根:ダッチアイリス‘ブルーマジック’/カマシア/カノコユリ‘ブラックビューティー’ など

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コンテストガーデンD
KINUTA “One Health” Garden

合同会社百暮

 代表デザイナー 高橋祐眞(神奈川県)


岐阜県大垣市出身。生態系や地域に根差した空間を軸にランドスケープアーキテクトとして、公共、民間の造園設計、現場監理に従事。今回のKINUTA ‘One Health’Gardenは、生態系、植木、ワークショップ、微生物の専門家とチームで作成し、人、生き物、環境が調和するみんなのガーデンを目指しました。

【作品のテーマ・制作意図】

ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。

【植栽計画について】

みんなのワンヘルスガーデンにするために、植栽計画は見るだけでなく触れる、香るなど五感で楽しめるハーブやカラーリーフやクラフトの素材などを用い、植物に触れるための仕掛けを散りばめます。また、四季を通じて彩りのある品種やシードヘッドの美しいものも使用し、管理が容易で楽しみながら持続できるガーデンを作ります。

【主な植物リスト】

宿根草(蜜源植物):ルドベキア/オミナエシ/モルダナ/アザミ/ガウラ/スミレ/チェリーセージ など
宿根草(四季の移ろい):グラス類のフェスツカ/カレックス/イトススキ/フウチソウ/チカラシバ/レモングラス/ミューレンベルギア’カピラリス’ など
低木類(鳥類・昆虫類来訪):スモークツリー‘グレース’/ガマズミ/アロニア‘メラノカルパ’’
カラーリーフ:カラスバセンリョウ/カリステモン‘リトルジョン’/イリシウム‘フロリダサンシャイン’
その他(季節の果実や葉):ビルベリー/コバノギンバイカ/レモンマートル

コンテストガーデンE
「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ

太田敦雄

(群馬県)


前橋工科大学建築学科卒業。アマチュアの趣味で植栽・発信していた自庭が雑誌や建築家の目に留まり、趣味の園芸家からプロの道へ。2011年「ACID NATURE 乙庭」を起業。園芸店運営、建築家に寄り添う植栽設計家、植物・園芸関連の執筆や講師等、植物に関わる活動を多角的に展開。自分らしい一歩を踏み出して夢を叶えていく希望と勇気を伝えたいと思っています。

【作品のテーマ・制作意図】

私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。

【植栽計画について】]

宿根草やカラーリーフの低木類、球根類を中心に、国籍や古今の流行、有名無名を問わず、植物の多様性や季節変化の諸相を楽しめるバラエティ豊かな植物選びで植栽を構成します。また、蜜蜂や蝶などの昆虫が好んで訪れる蜜源植物や香りのよい植物を積極的に使用し、植物の美観だけでなく、生物が共存する世界の美しさや、嗅覚や聴覚(葉ずれや虫の羽音)、味覚(蜜やハーブへの想像)、触覚(植物のテクスチャーからの連想や肌に触れる風が植物の動きを介して理解される)など、五感で楽しめる植栽表現を目指します。

【主な植物リスト】

宿根草:マンガベ ‘マッチョモカ’/アムソニア ‘ストームクラウド’/アガパンサス ‘ブラックマジック’ /アネモネ トメントーサ/ジンジバー(ミョウガ)斑入り/イリス・エンサタ(ハナショウブ)‘バリエガータ’/パトリニア プンクティフローラ/タリクトラム ‘エリン’ /ユーフォルビア ‘ファイアーグロー’/ユーパトリウム ‘リトルレッド’ など
グラス類:カラマグロスティス ‘カールフォースター’/モリニア ‘トランスペアレント’ /アンドロポゴン ‘ブラックホークス’ /スキザキリウム ‘ハハトンカ’ /コルタデリア ‘ミニパンパス’/メリニス ‘サバンナ’/ムーレンベルギア/スティパ/ホルデウム など
低木:ネリウム(キョウチクトウ)‘ペティットサーモン’/コルヌス(サンゴミズキ)‘ケッセルリンギィ’/ロロペタルム (トキワマンサク) ‘黒雲’ /ブッドレア・ グロボサ など
球根:ナルキッスス(スイセン)タリアなど数種/チューリップ(原種、園芸種含めて多品種)/アリウム  (開花期をずらして数種)/イキシア・バビアナ・ワトソニアなどの南アフリカ原産種 など

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コンテストガーデンを見に行こう! Information

都立砧公園「みんなのひろば」前
所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1
電話: 03-3417-0308

開園時間:常時開園
※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。
入園料:無料
アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車
駐車場:(有料)

 

第3回 東京パークガーデンアワード

https://www.tokyo-park.or.jp/special/kadan/jindai/

事務局:東京都公園協会



Credit

文 / 井上園子
– ライター/エディター –

いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。ガーデニング以外の他分野のPR等にも携わる。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。



撮影 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。