3.合格率上昇の背景に“深刻なケアマネ不足”
合格率上昇の背景として、峯尾さんはケアマネジャーの深刻な人手不足や業務環境の厳しさを挙げます。
「ケアマネジャーを取り巻く環境は、年々厳しくなっています。そのため、試験の難度を下げて担い手を増やそうと考えているのかもしれません。累計の合格者は増えていきますが、同時にケアマネジャーの高齢化も進んでおり、人手不足の状況です。さらに、介護福祉士に対する処遇改善交付金などの影響で、ケアマネジャーと現場の職員で給与が逆転している実態もあります」
また、試験の合格者の増加が、人手不足の解消に直結しない可能性について、次のように解説します。
「医師や看護師として働いている受験者のなかには、日々の業務に知識を活かしたいと考えて受験する人もいます。そのため、試験の合格者を増やすだけでは、現場のケアマネジャー不足が解決するとは限りません。現在のケアマネジャーは、本来の業務範囲を超え、さまざまな相談にも対応せざるを得ない状況です。今後、担い手を増やしていくには、国の主導による業務の整理や、利用者にケアマネジャー本来の役割の周知といった、さまざまな取り組みが求められます」
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4. ケアマネジャーの働く環境に変化の兆し
深刻な人手不足のなか、ケアマネジャー試験の合格率が20年ぶりに30%を超えました。しかし、介護現場でのケアマネジャー不足が実際に解消されるかは、引き続き注目が必要です。
峯尾さんは「ケアマネジャーの仕事は、知識やスキルを引き継ぐことが重要です。これから定年を迎えるケアマネジャーも増えるので、業務を整理し、働きやすい環境を整える必要があります」と話します。
厚生労働省でもケアマネジャーの業務を整理するなど、業務環境を改善するための検討を続けています。ケアマネジャーの仕事を魅力的なものとし、志望者を増やすため今後、さらなる取り組みが期待されます。
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参考
厚生労働省|介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等