手続きの具体的な流れ

(1)必要書類の準備

・代表取締役住所非表示申出書(法務局指定の書式)

・身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)

・実質的支配者申告書または申告受理および認証証明書

・本店の実在性を証明する書類(株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面等)

(2)法務局への提出

本店所在地を管轄する法務局に、代表取締役の住所が登記されることになる登記申請(会社設立、役員変更、住所変更、管轄外本店移転など)とセットで申出します。申出書には、住所非表示を希望する旨を記載する必要があります(法務省ホームページに記載例あり)。

参考:法務省ホームページ『代表取締役等住所非表示措置について』(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html)

(3)審査と通知

登記申請完了後、問題がなければ住所非表示措置が講じられて非表示になります。処理には通常1週間から10日程度かかります。

(4)手数料と費用

住所非表示の手続き自体は無料ですが、書類準備や専門家への依頼を行う場合、別途費用がかかる場合があります。

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制度利用時の注意点

●完全に匿名になるわけではない

非表示措置を利用しても、代表取締役の氏名や本店所在地は引き続き公開されます。住所のみが非表示となる点を理解しておきましょう。また、住所は最小行政区画まで公表されます。

●信用力への影響

非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の影響が生じることが想定されます。

●登記義務が免除されるわけではない

非表示措置が講じられた場合であっても、会社法に規定される登記義務が免除されるわけではありません。そのため代表取締役等の住所に変更が生じた場合には、その旨の登記の申請をする必要があります。

●申請書の不備に注意

非表示措置が講じられた場合であっても、登記の申請書には代表取締役等の住所を記載する必要があるため、住所の記載を失念することのないよう気を付ける必要があります。

●単独での申出はできない

非表示措置の申出を単体で行うことはできません。代表取締役の住所が登記されることになる登記申請とセットで行う必要があります。