もし、返しきれない借金を抱えてしまったら、どうすればよいのでしょうか。ひとつの手段として「自己破産」があります。しかし、自己破産は当然デメリットもあるため、多くの人がためらうでしょう。本記事では、我妻佳祐氏の著書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』より、借金が返せない場合の「自己破産」について解説していきます。

闇金融に手を出すぐらいなら自己破産を

多重債務になると信用がなくなるので、そのうちまともな消費者金融はお金を貸してくれなくなります。それでも借金で借金を返そうと思ったら、違法な闇金融に手を出すしかなくなります。

しかし、こちらの金利は年18%どころではありません。俗にいう「トイチ(10日で1割)」や、さらに高いめちゃくちゃな高金利をつけられます。もっと低い消費者金融の金利でも返せなかったのですから、当然、返済はますます滞り、いずれ返済ができなくなるでしょう。それをまた闇金融からの借金で返していこうとしたら、その先には生き地獄のような悲惨な未来しか待っていません。ですから、どんなにお金に困ったとしても、多重債務だけは絶対に避けましょう。

仮に「借金を借金で返す」状態になってしまったとしても、闇金融には手を出してはいけません。闇金に触れるのは、マンガで読むだけにしておきましょう。

では、借金地獄から抜け出せなくなったら、どうすればいいのか。法律では、そういう人にもちゃんと解決策が用意されています。

それは、自己破産。闇金融に頼って借金を返すぐらいなら、返済をあきらめてこちらを選ぶべきです。

自己破産が認められる人

経営が悪化して破産手続きをした会社は、借金が免除されます。それと同じように、個人も自己破産の申し立てが裁判所で認められると、借金の返済義務がなくなります。

「自己破産が認められるのはよほど多額の借金がある人だけでは?」と思うかもしれませんが、じつはそうでもありません。借金の額が少なくても、貯金などの資産がなく、生活していくのにギリギリの収入しかないようなら、認められることもあるでしょう(ただし、支払い能力がなくても、借金のほとんどがギャンブルや非常識な浪費だったりすると、自己破産が認められないこともあります)。

(広告の後にも続きます)

自己破産にはデメリットもある

もちろん、借金をゼロにしてもらえるのですから、自己破産にはデメリットもあります。

自己破産した人は住所と氏名が国の発行する官報(政府の機関紙)に掲載されるので、その事実を隠すことはできません。また、金融機関が共有する「ブラックリスト」に入れられるので、自己破産後は5〜10年のあいだ、どこからもお金を借りることができなくなります。クレジットカードもつくれなくなります。

でも、そういうデメリットがあっても、闇金融に手を出して地獄を見るよりは、自己破産をしたほうがよほどマシでしょう。

自己破産されると貸し付けた業者はお金を取りはぐれることになりますが、貸すほうはそういうリスクも想定した上で商売をしていますから、借り手が気にする必要はありません。一定の割合でお客が返済不能になることをあらかじめ計算に入れて、金利を設定しています。だから、消費者金融の貸付金利は高いのです。

みなさんも、万が一どうしても返せない借金を抱えてしまったときは、自己破産をためらう必要はありません。困ったときは事態が悪化する前にすぐに弁護士に相談しましょう。
 

我妻佳祐
マネックスライフセトルメント代表取締役