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 大事な予定の前日、「眠らなければ」と思うほどに目がさえてしまう。こんな経験は誰にでもあるのではないだろうか。そこで覚えておきたいのが、眠りにつくまでの時間を短縮する「アルファブリッジ睡眠法」だ。シンプルな手法ながら、ソーシャルメディアでは「これまでで最高の睡眠が取れた」「更年期の不眠が改善した」など、効果を実感する声が相次いでいる。

◆たった1分少々で脳をアルファ状態へ導く

 アルファブリッジ睡眠法は、目の動きとマインドフルネス呼吸法を組み合わせることで睡眠に導く。SNS「ティックトック(TikTok)」で最近、新たな手法として注目されている。米フォーブス誌は、「脳を覚醒状態のベータ状態から、よりリラックスしたアルファ状態へと移行させることができる」と解説している。

 具体的な手順は次の通りだ。まずは快適な姿勢で横たわるか、安定した姿勢で座る。次に目を閉じ、そのまま30まで数える。今度は目を半分だけ開けて、5までカウントする。これを1セットとし、再び目を閉じて30まで、半目で5までといった具合で、2セット目を繰り返す。最後に目を閉じ、鼻での呼吸に意識を集中させる。たったこれだけで、驚くほど穏やかに入眠できるという。

 米健康情報誌のイート・ディス・ノット・ザットは、このアルファブリッジ睡眠法を、ティックトックで数百万回再生されている話題の睡眠テクニックとして紹介している。たとえば更年期障害による不眠に悩むある女性が、「確実に7時間眠ることができるようになった」と報告するなど、効果を実感する声が相次いでいるという。

◆米軍が開発、究極の睡眠法

 イート・ディス・ノット・ザットは、飛行機など通常とは違う場所でもスムーズに眠ることができるテクニックとして取り上げている。

 生活情報サイトの米リアル・シンプルは、アルファブリッジ睡眠法について「アメリカ海軍が、パイロットが迅速かつ連続して睡眠を取れるよう開発した手法」だと説明している。以前から存在していたが、今年、心理学者のエリカ・テルブランシュ氏がティックトックで取り上げたことで再び注目を集めた。

 なぜうまく眠れるのだろうか。睡眠心理学者のシェルビー・ハリス氏はフォーブス誌の取材に対し、「アルファブリッジ法は、睡眠直前に自然と生じる目の動きと脳の活動を意図的に再現することで、より自然な眠りへの移行を促すのです」と説明している。

◆さらに効果を高めるには

 アルファブリッジ睡眠法は、工夫次第でいっそう効果が高まるという。医師のディラン・ペトカス氏はフォーブス誌に対し、「静かなビーチや平和な森をイメージするなどの視覚化を組み合わせると、より効果的になる」と説明している。

 このテクニックを使っても1度で入眠できない場合は、目を閉じて30まで数え、半目で5まで数えるサイクルを、さらに何度か繰り返すと良いという。より高い効果を得るためには、事前の準備も重要だ。リアル・シンプルは、睡眠に適した食事を摂取したり、瞑想を行ったり、睡眠を促すホルモンの分泌を高めるドリンクを飲んだりすることで、この睡眠技法の成功率を最大限に高めることができると解説している。

 不眠に悩んだり、飛行機やホテルなどいつもと違う環境で寝付けなかったりしたときは、ぜひ一度試してみたい。