市場規模が右肩上がりとされる「VTuber(バーチャルYouTuber)」業界では、2024年も数多くの新人が登場した。一方で、VTuber事務所に所属するタレントの「卒業ラッシュ」とも言える動きも起きた。不祥事を理由に契約を解除され、グループを離れるケースも散見された。12月までにどのような動きがあったか振り返る。

「にじさんじ」黎明期支えたタレント続々

まず、大手事務所・ANYCOLOR(東京都港区)が運営するVTuberグループ「にじさんじ」は7人が旅立った。英語圏向けグループ「にじさんじEN」では6人だ。

1月はリクサ・ディレンドラさん、勇気ちひろさんと安土桃さん、ぽむ・れいんぱふさん、2月は金子鏡さんが卒業。同月にはセレン龍月さんが契約解除され、理由は「度重なる契約違反とSNS上での誤解を招く虚偽の言動」と伝えられた。

卒業者は続き、5月はボンニフィエール・プラナジャさん。6月は鈴鹿詩子さん。8月は鈴谷アキさん、成瀬鳴さん、ヘックス・へイワイヤーさん。9月は中里苦無さん。11月はヴィクトリア・ブライトシールドさん。

年初から波乱の幕開けで、1年を通してみると、にじさんじ1期生の勇気さんや鈴谷さんをはじめ、事務所の黎明期を支えた18年デビューのタレント卒業が目立った。

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「ホロライブ」名物スタッフに人気VTuberも

一方、ANYCOLORのライバル企業ともいえるカバー(東京都港区)が手がけるVTuber事務所「ホロライブプロダクション」では年内に5人、年明けも2人予定が決まっている。にじさんじと比べて人数こそ少ないものの、衝撃的な別れが相次いだ。

1 月にホロライブ1期生の夜空メルさんが、情報漏洩といった契約違反行為により契約解除。6月末には、表でも活躍していた事務所初のスタッフ・友人Aさんが「家族の健康上の理由」で活動休止を経て退職。7 月には緋崎ガンマさんが、企業としてマネジメントやサポートを継続することが困難とされ契約解除になった。

そして8月、湊あくあさんが「会社との方向性の違い」を理由に卒業。チャンネル登録者220万超で、卒業ライブ配信で4000万円近くの投げ銭を獲得する人気ぶりだった。

10月にはホロライブEnglish1期生で登録者180万超、ワトソン・アメリアさんが配信活動を終了。ただしタレント所属は継続している。カバーが公開している文書によると、配信活動終了は原則として「卒業」の一つの形であるものの、限定的な形で活動する可能性を残した取り組みとなる。

今後の予定では、登録者98万超のセレス・ファウナさんが25 年 1 月 4 日で卒業。登録者133万超の沙花叉クロヱさんが同月26日で配信活動を終了し、タレント所属は継続するという。沙花叉さんは卒業理由について会社との方針の違いに加え、「稼働量が多すぎまして、通院が必要なレベルで体調を崩している」と明かしていた。