日常生活で接客を受けた際、予想外の気遣いをしてもらえると嬉しいですよね。決して過剰な気遣いである必要はなく、ささやかながらも顧客満足度を上げる方法はたくさんあります。本記事では、元ANAのCAで人材教育講師の三上ナナエ氏の著書『一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)より、三上氏が実際に心動かされた接客の例を紹介します。
ささやかだけど印象深い「接客エピソード」
プラスの情報を教えてくれる
一人旅で人気のカフェに行ったところ「ご案内までお待たせいたしました。今日は近くにある〇〇庭園は無料で入れるんですよ」と声をかけてくれた。一人だったので会話に心がとても和んだうえ、「ラッキーー」と気持ちも盛り上がった。
臨機応変な声がけ
グループで食事をした際、「お支払いはまとめてお願いいたします」とお店からのお願い事項が暑いてあったが、様子を見てくれていた店員さんが「個別のお会計はできないですが、両替はいたしますのでお知らせください」と声をかけてくれた。
小技が光る対応
4人でランチ。同じものをオーダー。テーブルチェックでまとめて払ったら、お釣り200円450円4枚でくれてびっくりした。
ユーモアのある気遣い
量販店で貼ってあったポスター。「スタッフは忙しそうなふりをしているだけですので、何かお探しの際は遠慮なく声をかけてください!」と願客側の心理を読み取ったポスターで、クスッと笑えた。
咄嗟のひと言
ホテルに宿泊時、加湿器からの水漏れがあった。自分で点検しても直らないのでフロントに問い合わせると第一声、「お客様のお持ち物に水がかかったりしなかったですか」と心配してくれた。状況確認よりも、咄嗟に寄り添ってくれる気持ちが嬉しかった。
さらに「お部屋を移動されますか、それとも加湿器の交換、どちらがご面倒ではないでしょうか」とこちらの状況を考え、選ばせてくれた。
雨の日の気遣い
あるビジネスホテルでチェックインした際、ハンドタオルをフロントに用意してくれていた。「雨の中、お疲れ様でした。ぜひ、お召し物やお鞄などにタオルをお使いください」と笑顔で迎えてくれた。
忘れ物にさりげない言葉の気遣い
ラーメン屋さんで食べた後、上着の忘れ物をした。お店の人が追いかけてくれて「お客様、お寒くないですか?」と笑顔で渡してくれた。
間違いない提案
友人とホテルでアフタヌーンティーをしていると、「ご一緒にお写真をお撮りしますね!」とスタッフが申し出てくれた。アフタヌーンティーでは可愛らしい様々な種類のお菓子がたくさんのったタワーが提供され、それを含めて写真に収めたくなる見栄え。おしゃべりに夢中になって、友人と一緒に撮ってもらうタイミングを逃してしまいがちなので、声をかけてもらえるのは、実はとても有難い対応だと感じた。
タクシー運転手さんとの談笑
タクシーに乗った際、運転手の方に「外国のお客様は多いですか?」と質問したところ、「多くいらっしゃいますね。私は日本語以外の挨拶10ヶ国語以上覚えたんですよ。その国の言葉で挨拶をするととっても喜ばれるんですよ」といろんな挨拶も教えてくれ盛り上がった。
「旅行の行程をすべて楽しんでほしい!」という気持ちが伝わる
泊まった旅館で「近くにある〇〇神社で行われる舞を見に行くんです」と伝えると「あそこは床に直に座るので脚が痛くなるから、旅館の座布団を持っていってください」と声をかけてくれた。おかげで舞に集中できて、より思い出に残った。
サービスを受けた後も余韻が残る
観光地によくある人力車に乗ってみた。わかりやすい案内と気の利いた声かけに感激。翌日の朝早くホテルの周りを散歩していると、街中を人力車の方々がゴミを拾ったりお掃除をされている姿が。まだ観光客が誰もいない時間帯。人力車に乗るのは贅沢かな?と乗る時は少し迷ったが、「本当に乗ってよかった!」と再度思わされた。
お客様の過程にも心を寄せる
スーパーでお会計の際、にんじんが何本か入った袋の外側に、汚れがついているのをレジの方が気づき、丁寧に拭いてくれた(汚れは、お肉に付属の客器からタレが漏れたもの)。拭きながら、「違う袋詰めのにんじんをすぐお持ちすることもできますが、お客様が吟味して選ばれたお野菜だと思うので」と声をかけてくれた。忙しいレジ対応の中でも、私が選んだ姿を想像してくれたのが伝わった。
三上 ナナエ
元CA・人材教育講師