ある地域で税制上の優遇を受けることができる「タックスヘイブン」。そんなタックスヘイブンで有名なのがカリブ海のケイマン諸島など、イギリスの海外領土です。日本でイギリスと呼ばれるこの国は、実は4つの地域を含んでいます。イギリスの独特で複雑な地理と税制度について詳しくみていきましょう。本連載では、国際税務の専門家が解説します。

英国の名称

日本では英国またはイギリスという名称が一般的ですが、外務省による正式名称は連合王国(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland:略称UK)というものです。英国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの地域が1つの国になっています。UKはこれらの総称です。

しかし、サッカーあるいはラクビ―の世界大会ではUKという国は出場せず、イングランド、スコットランド、ウェールズの代表チームが参加しています。日本的な感覚からすると、世界大会に1つの国から地域代表が多数参加することに奇異な感じがします。

ちなみにラグビーのアイルランド代表は、アイルランドラグビー協会によって組織されるラグビーユニオンです。アイルランドが南北に分かれる以前から同協会が存在していたため、アイルランド共和国および英国の1地域である北アイルランドから選手が選出されています。

また、オリンピックに出場した英国選手のゼッケンの名称はGB(Great Britain)などになっています。

(広告の後にも続きます)

スコットランドでは独自の通貨が流通 

英国は2020年にEUから離脱しました。その理由の1つに、EUの共通通貨であるユーロを国の通貨にしたくなかったからという説があります。英国は一貫してポンドが基軸通貨です。

しかしスコットランドではイングランドで通用するポンド紙幣も使用できます。通常のポンド紙幣はイングランド銀行によるものですが、スコットランドでは3つの銀行がそれぞれ紙幣を発行しています。

また文化の面でも、スコットランド独特のキルトというタータン柄のスカートのような衣装があります。

上記に述べたように、英国は2020年にEUを脱退しています。しかし、スコットランドは独自にEUに加盟するといううわさがあります。